内容説明
立花隆氏は言う。「日本は特攻隊という形で、多数の殉国者を出した伝統を持つ国である。―昭和戦前の日本は現人神の支配する神国であったから、そこで育った若者たちは、熱狂的な愛国心を持つようになり、それに身を捧げることに喜びを持つことができた」と。9.11のテロも特攻も同じだと説く。果たしてそうなのか。氏の断罪に抗して、カミカゼ特攻の一人一人に接し同じ学徒として、同じ特攻として、同じ煩悶を共有したかつての仲間の一人がこの無惨なる死を、人間としての尊厳と名誉と真実を明らかにすべく反証する。真実は抹殺すべきではないと心の底から発する声なき声。感動の一冊。
目次
第1章 虚妄の系譜
第2章 百歩の距離
第3章 沈黙の訣別
第4章 悲哭の集い
第5章 異郷の祖国
第6章 誰が為に死ぬ
第7章 宇佐の群像
第8章 光栄無上絶対なり
第9章 国に仇なす無機の鉄塊
著者等紹介
須崎勝弥[スサキカツヤ]
1922年、朝鮮黄海道に生まれる。東北大学法文学部在学中に学徒出陣、海軍飛行予備学生となる。戦後、新東宝を経てシナリオライターとなり、大映、東宝と契約、「人間魚雷回天」「連合艦隊司令長官山本五十六」「太平洋奇跡の作戦キスカ」「太平洋の翼」「連合艦隊」など、作品に海軍を題材としたものが多い。テレビでは「青春とは何だ」「これが青春だ」「でっかい青春」など青春と名のつく作品が多数ある。その他、歴史の小論も試みつつある。日本シナリオ作家協会会員
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