内容説明
その予言は必ず当たるといわれる人面牛身の妖獣クダンの謎、六甲山地に出没する牛頭女身の牛女の禍々しき魅力。内田百〓、小松左京ら文豪たちをも魅了した謎めいた予言獣クダンの足あとを辿って岡山・牛神社、大分・別府温泉、兵庫・六甲山地、京都・丹後半島を探訪するクダン狩りの旅。怪談文芸の第一人者である著者のクダン論を集大成するとともに、第二部にクダンをモチーフにした傑作文学、内田百〓「件」、小松左京「くだんのはは」を収録。第三部としてクダン研究者・笹方政紀氏との対談を掲載。
目次
第1部 クダン狩り(すべての怪談は“不幸の手紙”から始まる!;本朝「牛の首」文学誌序説―クダンは祟るか!?;未来を予言する怪物、クダンを追う;クダンの地獄;地紀末の妖獣クダンを追え)
第2部 クダン文学傑作選(件(内田百〓)
くだんのはは(小松左京))
第3部 クダン対談(クダン研究の最前線(東雅夫+笹方政紀))
著者等紹介
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年神奈川県生まれ。早稲田大学卒。アンソロジスト、文芸評論家。1982年より『幻想文学』編集長、怪談専門誌『幽』編集長を歴任。著書に、日本推理作家協会賞を受賞した『遠野物語と怪談の時代』(角川選書)、編纂書ほか多数がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
77
前世紀末、jホラーが隆盛を極めた時期があった。本書はその時代に著者が件について書いたものを集めた一冊。あと百鬼園先生と小松左京の作品も収録されてます。内容は考察あり紀行文ありと多岐に渡り読んでいて実に楽しい。先に上げたお二方の作品は当然ながら、リングや新耳袋、岡山に見世物などのキーワードが頻出しあの時代独特のホラーの持つ熱気みたいなものをつい思い出させられるなあ。個人的には大部分が既読であったが、未読の同人誌に寄稿された部分、これがルポとして極めて重要なものであったし。読みながらあの時代を思い出しました。2022/01/21
kokada_jnet
51
クダンって結局、単なる妄想・噂か、人工的に作った偽の剥製ぐらいというお話。特に面白い話はなかった。2022/05/22
qoop
9
半人半牛の妖怪・くだんについて著者が二十数年前に書いた記事をまとめたものに、最新の研究動静に関する対談を付け加えた一冊。コロナ禍で多少クローズアップされたくだんに関する本…ではあるが、それだけだと如何にもニッチな一冊になってしまう。それは惜しい。むしろ怪談文芸のオーソリティである著者が、怪談文芸と都市伝説の融合点を求めたルポルタージュだという点に再注目して読むべきかも。個人的に、創作と実話の相互影響は関心があるし。2021/12/31
ハルト
8
読了:◎ 予言獣クダン(件)の伝承を追う旅。予言をするという人面牛身の件と、牛頭女身の牛女。それらが登場する怪談を、クダンが実在したのか、どこから誕生したのかを考察する。▼一緒に載っている内田百閒の「件」と、小松左京の「くだんのはは」をあらためて読むと、そのゾッとする恐ろしさは、時代を越えて古びないものだと実感する。▼予言と牛と人間という組み合わせに、どんな意味があったのか。人面牛身と牛頭女身と別の存在でありながら、地域によって伝播の仕方がなぜ違うのか等。謎を残しながらも、クダン狩りを堪能できた。2022/03/06
さまい
6
タイトルに惹かれ読んでみた。本書は20年前のムーに連載していたクダンに関するコラム、内田多聞の「くだん」、小松左京の「くだんのはは」で構成されているので、今更になって書籍化する必要があったのか疑問。それでも「くだん」と「くだんのはは」はタイトルは聞いたことあれど、内容は読んだことがなかったので、両編を読めて個人的には良い機会だった。2022/03/12
-
- 和書
- ちょう いきいきいきもの
-
- 和書
- 航空とホスピタリティ