出版社内容情報
ケアを受けない者はいないにもかかわらず、ケア活動もケア活動を担う人々も、長い歴史の中で軽視、あるいは無視されてきた。J・トロントは、民主主義の定義を「ケア責任の配分に関わるもの」だとし、新たな民主主義の再編が必要であると語る。
トロントの著書の初邦訳となる『ケアするのは誰か?』は、ペンシルヴァニア大学マッカートニー民主主義研究所が米国内外の民主主義を活性化させてきた団体および個人に贈る「ブラウン民主主義賞」を、トロントが受賞した際の講演録である。
本書では、日本のフェミニスト政治学教授である訳者による論考を併載。危機に瀕した日本の政治状況を分析し、トロントが提示するケアに満ちた民主主義の実現に向けて何が必要であるのかを明らかにする。
内容説明
ケアを受けない者はいない。にもかかわらず、ケア活動もケア活動を担う人々も、長い歴史の中で軽視あるいは無視されてきた。本書は、“ケアに満ちた民主主義”を訴えてきた米国のフェミニスト政治学者トロントが、「ブラウン民主主義賞」を受賞した際の講演録を訳出。トロントは、民主主義の定義を「ケア責任の配分に関わるもの」だとし、新たな民主主義の再編が必要であると語る。あわせて日本のフェミニスト政治学者である訳者が、危機に瀕した日本の政治状況を分析するとともに、トロントが提示する「フェミニスト的なケアの民主的倫理」がなぜ必要なのか、それがなぜより善く生きる社会への変革であるのかを解説する。
目次
第1章 ケアするのは誰か?―いかに、民主主義を再編するか(ケアが理解されるとき、民主主義は再定義されなくてはならない;ケア株式会社;共にケアするための革命を起こす)
第2章 民主主義の再生とケアの倫理―ジョアン・トロントの歩み(フェミニストとして、ケアの倫理に出会う;ケアの倫理から、ケアの理論へ;ケア活動Caringへの注視―実践と道徳をめぐるフェミニスト的アプローチとは?;ケアの倫理を道徳理論の変遷のなかに位置づける;ケアと政治理論;新しい民主主義論―無責任な特権者から、ケアを必要とする平等な者たちへ)
第3章 ケアの倫理から、民主主義を再起動するために(フォルブルの寓話―競争とケア;フェミニズムにおける平等とは―ケア実践を社会に導入する;フェミニズムにおける民主主義とは―育児を中心に;ケアの民主化と民主主義の再生―ポスト・コロナ禍の時代にむけて)
著者等紹介
トロント,ジョアン・C.[トロント,ジョアン・C.] [Tronto,Joan C.]
1952年生まれ。ニューヨーク市立大学大学院およびハンターカレッジ政治学教授、ミネソタ大学政治学教授を経て、現在は両大学名誉教授。専門は、フェミニズム政治理論。『ケアするのは誰か?―新しい民主主義のかたちへ』収録の“Who Cares?How to Reshape a Democratic Politics”は、ブラウン民主主義賞受賞記念講演録である
岡野八代[オカノヤヨ]
1967年生まれ。同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。専攻は、西洋政治思想、フェミニズム理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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