出版社内容情報
統合失調症は回復します。精神障害の患者やその家族と、生活の場で共に語り合い、学び合ってきた経験からの回復のためのアドバイス。町医者として診療のかたわら、30年余りの年月を精神障害の患者さんやその家族と、診察室ではなく生活の場で共に語り合い、学び合ってきた経験から、症状が出たとき、薬について、家族の対応やリハビリについてなど、回復のためのアドバイスをまとめた。さらに、回復するために精神科医療はどうあるべきか、苦言・提言を語る。
抗精神病薬がなかった時代に、回復して社会に復帰できた患者が大勢いたのに、現代では回復できない人が多いのは、薬が問題なのではないかと著者は言う。むやみに薬が多剤処方され、それによる副作用や依存症が起こり、人間の自然治癒力を損なっているのではないかと。薬物療法だけではないはずの精神科医療の今日のありかたを問う苦言・提言は、病に苦しむ患者さんや家族にとって大いに共感するものにちがいない。
序章──統合失調症からの回復のヒント/第1章 統合失調症の歴史──暗黒の時代から回復可能な病へ/第2章 統合失調症の症状が出たら/第3章 統合失調症の薬のはなし/第4章 統合失調症からの回復のために/第5章 回復のための医療へ
乾 達[イヌイ ススム]
著・文・その他
内容説明
こころの病は、こころで癒す。薬は治療の主役にはなれません。患者さん、家族への長年の生活支援の経験にもとづいた、回復へのアドバイスと、精神科医療への苦言・提言。
目次
序章 統合失調症からの回復のヒント
第1章 統合失調症の歴史―暗黒の時代から回復可能な病へ(病者は暗黒の歴史の中に晒されてきた;人間以下の扱いからの解放 ほか)
第2章 統合失調症の症状が出たら(不安が幻聴や妄想の症状を強くしている;不安を受け入れ自分らしく生きよう ほか)
第3章 統合失調症の薬のはなし(薬は治療の主役になれません;うつ病患者の増加と抗うつ剤 ほか)
第4章 統合失調症からの回復のために(回復のためにできること;回復のためのポイント)
第5章 回復のための医療へ(精神科医療の問題と課題;患者が出会いたいドクターとは ほか)
著者等紹介
乾達[イヌイススム]
1935年、静岡県生まれ。1962年、日本医科大学卒業。東京医科歯科大学病理学教室、長野県佐久総合病院内科、青梅市立病院内科勤務を経て、1970年、父・蕃から乾医院(静岡市)を引き継ぐ。1979年、清水地域医療研究会が発足。1987年、精神障害者の生活支援活動を始め、1997年、精神障害者の憩いの場「ワークステーション・どんぐり」を開設。2000年、NPO法人「精神障害者生活支援よもぎ会」設立。2012年3月、診療から引退。その後も、「よもぎ会」の活動を継続している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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