内容説明
「殺してはならぬ、殺さしめてはならぬ」を教義の一つとする仏教は、非戦・非暴力の宗教のように見えながら、実際には過去に戦争を賛美し殺し合いを強いてきた。戦争・紛争の止まない現代にあって、仏教は暴力を防ぐことはできないのか。非戦・非暴力の視点から、改めて釈迦、親鸞の思想を捉え直すと同時に、今村仁司『清沢満之の思想』を題材に、清沢の思想と今村の暴力論を批判的に検証する。
目次
第1章 近代ヒューマニズムと暴力(近代日本の仏教思想史とヒューマニズム;近代ヒューマニズム思想の特徴 ほか)
第2章 仏教は「苦しみ」からの解放をもたらすか―「解放仏教」試論(解放の宗教とは;釈迦の生涯とその時代 ほか)
第3章 近代の日本と仏教思想―真宗大谷派の「近代教学」再検討(国民国家と戦争;日本の二〇世紀 ほか)
第4章 仏教は暴力を防げるのか―今村仁司『清沢満之の思想』を読む(哲学の優越という傲慢;さまざまな知の二元化 ほか)
著者等紹介
菱木政晴[ヒシキマサハル]
1950年金沢市生まれ。京都大学文学部宗教学専攻、同大学院博士課程単位取得退学。91年まで真宗大谷派教学研究所嘱託。京都西山短期大学教授。真宗大谷派僧侶。85年の中曽根首相靖国神社公式参拝に対する違憲訴訟をきっかけに結成された「真宗大谷派反靖国全国連絡会」の事務局を担当。以来、政教分離訴訟等にかかわる
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