内容説明
「葉隠」の魂を糧に、いち早く洋学を進取した雄藩。近代日本の夜明けは佐賀に始まる。
目次
第1章 佐賀藩前史―龍造寺氏から鍋島氏へ版図が移った肥前に秀吉が到着。(龍造寺氏の仁政を継いだ鍋島氏;五州二島の太守龍造寺隆信の時代;唐入りの基地 名護屋)
第2章 佐賀鍋島藩の成立―幕藩体制下で藩存続のために必要不可欠だった精神。(佐賀藩の成立と展開;島原・天草の乱と佐賀藩;長崎警備と佐賀藩;佐賀の武士道『葉隠』)
第3章 藩政改革と文化―喫緊の課題である藩財政の立て直しと人材の育成。(佐賀藩藩政改革の始まり;鍋島直正(閑叟)の大改革
異国文化の通過点
佐賀藩領内の教育と機関)
第4章 佐賀藩の維新回天への道―近代化へ突き進む佐賀藩特有の背景。(佐賀藩の大砲と軍備の近代化;最大の海軍力を有した雄藩;海を渡った佐賀人たち)
第5章 戊辰戦争から明治へ―雄藩だった佐賀藩は表舞台から姿を消していく。(戊辰戦争における活躍;岩倉使節団と佐賀;佐賀戦争と江藤新平の最期;佐賀県の誕生と廃止、そして再置)
著者等紹介
川副義敦[カワソエヨシアツ]
昭和30年(1955)山口県山口市生まれ。熊本大学大学院修了。佐賀県立佐賀西高校教諭、佐賀県立博物館勤務等を経て、現在、武雄市図書館・歴史資料館学芸員(副館長)。佐賀市在住。展覧会図録や中世・近世・近代関係ほかの執筆に関わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hiroshi
5
シリーズ藩物語の佐賀鍋島藩。肥前は室町時代には千葉氏・少弐氏が治めていたが、戦国時代は龍造寺氏が治めていた。1530年の神埼田手畷の戦いで大内1万の軍勢に対し龍造寺氏の家臣鍋島氏が大勝利を収め、龍造寺と鍋島は姻戚関係を結び、鍋島直茂が生まれた。1570年の今山合戦では、大友氏6万人の軍勢に対し、竜造寺隆信の家臣直茂は「佐賀の桶狭間」と称される戦いをして大勝利をした。1582年に龍造寺隆信が戦死すると、その子政家は体が弱く、その子高房は幼少であり、秀吉に仕えられるのは鍋島直茂以外におらず、政権を譲り受けた。2019/05/21
みなみ
3
「英雄たちの選択」で佐賀藩が出てきたので。初の国産反射炉でつくられた大砲は現存しないという。たぶん、戦前の金属供出では?という推測。お寺の鐘だって供出しちゃう国なのだ。日本は伝統も、昔のものもちっとも大事にせず、その場をしのぎさえすればそれでいい節操のない国だということがよくわかった。いま力を持っている超保守層は、そういう日本であるにもかかわらず、伝統がどうとか美化しまくってるけど、ちゃんと勉強してみると、伝統がー伝統がー言い出すのは空疎な人たちなんだな。2016/08/10
金監禾重
2
テーマごとに書いてある本なので、話題性(トピック)に乏しい江戸時代中期の情報はほぼ無い。藩主各代の概説程度でも、通史的な項目がほしかった。江戸時代後期から幕末明治維新、特に英主鍋島直正とその周辺については記述量が圧倒的で、くわしく知ることができる。藩前史(戦国時代)から書かれているので、佐賀藩の特異な成立事情もしっかり説明されている。旧主一族や支藩、長崎警備など「しがらみだらけ」の大名家で、苦労が多かったことだろう。2017/11/08
とーこ
1
Webのマンガが面白かったので、史実を知りたくて読んだ本の一つ。薩長土肥。子供の頃から、この「肥前」だけがわからなかった。読み終えていま呆然としている。地味でもなんでもなかったな、この土地。2015/09/13
Ayumi Shimojoh
0
図書館。龍造寺隆信から鍋島さんにうつり佐賀藩が成立、葉隠れ佐賀の武士道、鍋島直正の藩政改革、最新の海軍を有した雄藩、佐賀の時代の終わり、そして明治政府での佐賀人の活躍。かいつまんで、ザーッと300年をひと駆けで読み通し。2016/12/20