内容説明
本州中央高地の中央に開けた松本盆地、国宝松本城・伝統行事は、みやびの文化を今に語る。
目次
第1章 松本藩成立の苦悩―六十年間で藩主九代の交替。その中で城と城下町が定まる。(小笠原貞慶の時代;石川数正・康長の時代 ほか)
第2章 水野家八十三年間の時代―善政・悪政交差の中で、後世に残した文化は大きい。(水野忠職、藩のしくみを固める;水野忠直の悪政と善政 ほか)
第3章 戸田(松平)家時代のはじまり―願いかなって再入封した戸田氏は朱子学を藩是とした。(戸田光慈名君の治世;官舎武家屋敷の様子 ほか)
第4章 寛政・化政・天保の諸改革―寛政の新条目とは。立て続けの改革で藩政を保つ。(戸田光行の寛政の改革;戸田光年の文化・文政期の改革 ほか)
第5章 松本藩の幕末・維新―迷い続けた藩政であった。出遅れて失った文化財は大きかった。(ペリーの来航と松本の人々;戸田光則の安政の改革 ほか)
著者等紹介
田中薫[タナカカオル]
1935年(昭和10)長野県長野市生まれ。地域史研究家。松本市在住。教職生活の傍ら『塩尻市誌』や『松本市史』『本城村誌』などの執筆に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のぶ
1
長州の毛利、仙台の伊達、肥後の細川といったおらが郷土の殿様の苗字がぱっと出てくる安定支配の地域もあるのに対し、松本あたりは変化が激しかったようで、殿様の名前はピンと来ませんね。強いてあげれば、開城したのが小笠原さんで長く統治したのが戸田さんかな。本書を読むとその事情がわかりますが、大名の改易はサラリーマンの人事異動に近い感じだったのですね。維新後の話で詳しくは書かれてないのですが松本城が解体を免れた経緯のことも書かれてます。読んでるときは面白くもない本だったのですが読了してじわじわと面白く感じてきました。2013/03/25
のぶさん
0
松本に遊びに行って、宿に置いてあったので気になった本。松本藩でどのようなことがあったのか詳しく書かれていて興味深く読んだ。特に面白かったのは、幕末の様子。京都に向かう水戸天狗党を和田峠で迎え撃ったが一敗地に塗れたこと、長州征伐に参加したが、その帰途は物見遊山だったことなど、歴史の本編で語られない歴史を垣間見ることができた。2022/09/04