出版社内容情報
一般社団法人ふぇみ・ゼミ&カフェが2022年に開催した連続講座「引き裂かれる性と生殖の権利」の講演録を加筆・修正し、新たな内容を加えて書籍化。
「リプロダクティブ・ジャスティス=性と生殖の正義と公正」は、90 年代からアメリカの黒人フェミニストやセクシュアリティが掲げてきた。性と生殖の権利を語る時、例えば貧困層や移民、人種的マイノリティの女性たちの権利は周縁に追いやられ、そこにはジェンダー以外にも様々な差別があることを見落としてはならないというインターセクショナリティ(差別の交差性)の指摘であり、①子どもを持たない権利、②子どもを持つ権利、③安全で健康な環境で、子どもの親になる権利を要求してきた。さらにセクシュアル・マイノリティやセックスワーカーの経験から性的自己決定権及びジェンダーの自由も重要だとされる。これまでの議論の中で見落とされ、「つけ加え」として扱われてきた人たちの経験から、日本で生きる私たちにとってのリプロダクティブ・ジャスティスを問い返すものである。
【目次】
【主要目次】
リプロダクティブ・ジャスティスの歴史と運動:性と生殖のインターセクショナリティ(熱田敬子)
対談:主流の「強さ」を問い直すために(米津知子、飯野由里子)
「中絶こころ編/私を生きるために」を制作して思うこと(山上千恵子)
映画情報「中絶こころ編/私を生きるために」(山上千恵子)
植民地朝鮮における女性の身体とヒステリー(梁・永山聡子)
1970~80年代の沖縄の反開発闘争が提起した再生産労働の問題(上原こずえ)
日本で暮らすネパール人女性たち――彼女たちの願い、または課題と権利(ビゼイ・ゲワリ)
移民女性の中絶の権利とリフ?ロタ?クティフ?・シ?ャスティス(ザヌカ・カティワダ)
妊娠をめぐる困難とサバルタン・エイジェンシー:ベトナム人女性移住労働者の事例から(巣内尚子)
セックスワークと自己決定(要友紀子)
優生思想と「純潔/純血」イデオロギー(嶽本新奈)
中絶はなぜ悲しいことか~背負いこむことと背負わされること(熱田敬子)
障害のある女性とリプロ(藤原久美子)
出自を知る権利とは――精子提供で生まれた当事者の立場から考える(石塚幸子)
トランスジェンダーの妊娠~トランスマスキュリンの経験と妊娠の実践の国際研究(サリー・ハインズ)
メスと制度が切り裂くものは:トランスジェンダーの語りと「性同一性障害特例法」(吉野靫)
セックスワークを経てセクシュアルヘルスに思う事(げいまきまき)
障害児の性教育(日暮かおる)
韓国の「堕胎罪」廃止運動と非犯罪化が残した課題(ナヨン)
日本における性と生殖の排除とフェミニズム(熱田敬子、飯野由里子、梁・永山聡子)
重要キーワード解説
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