出版社内容情報
ウクライナに暮らす人たちは、この戦争に何を思い、どのように暮らしているのか。ウクライナで俳句を詠む7人の俳句を紹介しつつインタビューを行い、本書にまとめた。
戦争開始直後にミサイル攻撃を受けたキーウ、ポーランドに近く避難民が押し寄せたリヴィウ、ロシアとは目と鼻の先で激戦地となってしまったハルキウなどから、戦争に苦しむ人たちの様子が伝えられる。
絶え間なく鳴り響くサイレン、警報を聞いたら家の中で2枚の壁の間にいるようにする「2枚の壁ルール」、ミサイルが発射されてから到達するまでの40秒を息を潜めながら数える緊張した日々、戦争で身体の一部を失った若者……。また、誰にも収穫されることなく砲撃で燃える麦畑、毎年そこで繁殖する渡り鳥の不在、避難しなければならなくなり置き去りにされたペット……。
俳人ならではの目配りによって、報道では決して伝わらない、私たちの想像を超える戦争のリアルが切実に報告される。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
59
”焼け野原「グラード」で砲撃されし麦畑” イリーナ・メレシキナ(原語はウクライナ語) 俳句、というか、心の叫び。 ウクライナで俳句を嗜んでいて、脱出せずそのまま現地に残った人々にインタビュー2023/12/06
kan
21
ロシアやウクライナに俳句愛好者が多いとは知らなかった。爆撃の中や地下壕の中で詠まれた、ウクライナの一瞬を切り取った句を紹介しながら、その情景と句の中に静かに込められた悲しみや嘆きをインタビューで聞き取る。どの句も説明も切なく、それでも日常を回していこうとする市民のタフさとやりきれなさが溢れ出てきて、読むのにエネルギーが必要な一冊だった。句を詠むことと、その内容を語ることが極限状態を乗り越えるグリーフケアに繋がっているように思える。「収容所から来た遺書」で山本幡男さん達がシベリアで句を詠んでいたのと同じだ。2023/08/27
takao
4
ふむ2024/05/21
やん
1
「俳句が伝える戦時下のロシア」とは読後感が違った。住む場所が戦場になっているかどうかの違いだろうか。思いがけなく戦争が始まってもうすぐ2年になる。戦争も災害もなくなることはないのだろう。いつかはなくなると信じたかったが。それでも苦しみがこの世から少しでもなくなって欲しい。コウノトリの句が印象的。地元に避難してきたウクライナ人の画家の人からクラファンの返礼品として送られてきたのがコウノトリの絵だった。いつか彼が故郷に戻れる日が来ることを祈る。2024/01/08
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