出版社内容情報
2022年、川端康成が没してから50年の月日が流れたことになる。誰もが知るノーベル賞作家の川端だが、1945年4月~5月、海軍報道班員として鹿児島県・鹿屋の特攻基地に滞在していたことを知る人は少ない。著者は川端作品から「後戻りのきかない崖っぷちのようなところで書いているという感じ」を受け、川端が抱えた哀しみの根に、「特攻」体験がどう関わるのか、現地に赴き詳細な調査を行った。川端が滞在した一ヵ月の間に、鹿屋から飛び立ち、散華した特攻隊員たちの具体的な人となりについても調べ上げ、彼らとの出会いと別れが戦後の川端文学にどのように影響したかを見極める。これまでの川端論から抜け落ちていた「特攻」体験を深掘りし、没後半世紀にして初めて明かされる真実を濃やかな筆致で綴る。
内容説明
1945年4月、川端康成は鹿児島県鹿屋の特攻基地に降り立った。没後50年、初めて問われる文豪の「特攻」体験。
目次
赤い靴を履いた海軍少佐
私信が語る川端の「特攻」体験
記録、証言に見る報道班員・川端康成
特攻の町、鹿屋
『英霊の遺文』
川端が出会った特攻隊員たち その一
川端が出会った特攻隊員たち その二
『生命の樹』
「特攻」体験から『生命の樹』へ
「特攻」体験の揺曳―『虹いくたび』を中心に
再びの鹿屋、忍び寄る「特攻」
「特攻」に死す。三島由紀夫との葛藤
生と死の坩堝に
著者等紹介
多胡吉郎[タゴキチロウ]
作家。1956年生まれ。東京大学文学部国文学科卒。1980年、NHK入局。ディレクター、プロデューサーとして多くの番組を手がける。ロンドン勤務を最後に2002年に独立、英国を拠点に文筆の道に入る。2009年に帰国、活動拠点を日本に移す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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