内容説明
人は「よろしく」と現れ「よろしく」と去っていく―。作家の「ぼく」は、昼間家にいるせいで、近所で起きた殺人事件の犯人に疑われたり、すぐ隣に住む老父の介護問題に直面したり、48年ぶりに会った小学校の同級生に迫られたりと、厄介事がたえない。なのにどこか淡々飄々としている「ぼく」を通して描かれる嵐山流の死生観。人生のたそがれを、どう生きてどう死ぬべきか。静けさに満ちた傑作。
著者等紹介
嵐山光三郎[アラシヤマコウザブロウ]
1942年東京生まれ。旅を住みかとする作家。温泉、俳句、釣り、古本など多趣味の不良老人として、隠居生活に入りつつも、したたかに世間を観察している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Syo
25
う〜む。 介護。 他人事じゃないのよねぇ。2020/10/16
ツバメマン★こち亀読破中
20
小説家の「ぼく」の両親と周りの人々に静かに迫ってくる老い。ぼくの父・ノブちゃんは日を追うごとに認知症が進行していき、彼の介護に疲弊していく母・トシ子さん。それでも仕事はしないといけないしご飯も食べなければいけない。ときには殺人事件も起きたりする。そんな毎日がユーモラスに淡々と静かに描かれています。ノブちゃんとトシ子さんの静かな愛情に心打たれました。余談ですが舞台が隣駅なので余計に入り込んでしまったのでR。(←古っ)2016/02/11
tnyak
4
私小説なのでしょうか?父親が衰えていく様が詳細に描かれていて、身につまされたり、大いに同感できたりした作品でした。親の人生の黄昏時にどう関わっていけばよいのか、また自分や妻の老いに子供たちはどう思うのか、などなど重くて難しい問いがつきつけられる小説でした。2017/07/31
青葉麒麟
4
途中からこれって実話?って感じたけど、どうなのかな?中盤辺りから父親の介護に纏わる話しになってたので興味深く読めた。実の父親の事をちゃん付けで呼ぶのってなんだか新鮮。葬式の時の留守宅を狙う泥棒って本当にいるんだ。2013/04/01
ベータケ(betake)
2
自伝的新聞小説。高齢の父の介護と死まで。2022/11/06