内容説明
時は天保十四年。中山道の板橋宿に「つばくろ屋」という旅籠があった。病床の主にかわり宿を守り立てるのは、看板娘の佐久と個性豊かな奉公人たち。他の旅籠とは一味違う、美味しい料理と真心尽くしのもてなしで、疲れた旅人たちを癒やしている。けれど、時には困った事件も舞い込んで―?旅籠の四季と人の絆が鮮やかに描かれた、心温まる時代小説。アルファポリス第3回歴史・時代小説大賞大賞受賞作。
著者等紹介
五十鈴りく[イスズリク]
2017年、『中山道板橋宿つばくろ屋』でアルファポリス第3回歴史・時代小説大賞大賞を受賞。2018年、同作にて出版デビューに至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
97
中山道板橋宿つばくろ屋 2018.04発行。字の大きさは…小。 中山道の板橋宿に有る旅籠つばくろ屋は、真心をこめたおもてなしと美味しい料理が売りの宿で、飯盛女(宿場女郎)は置いていません。 此度は、明るく人をとことん信じる娘・佐久を中心に、病弱な主人・伊平と奉公人を巻き込んで、御泊まりになるお客様とその奉公人の物語です。 この本は、五十鈴りくさんのデビュー作です。良く調べて書いているという印象を受けますが。話が硬いなと思うこともあります。 次作が楽しみです。 五十鈴りくさんの本を読むのは始めてです。2020/05/10
みゆ
74
初読み作家さん。舞台は中山道板橋宿。美味しい料理と真心尽くしのおもてなしがモットーの「つばくろ屋」。主人公は旅籠の一人娘で明るく素直な娘さん。奉公人も皆いい人で、とっても人情味あふれる物語なんだけど、ちょっと親切すぎやしませんか。こんな調子で親切続けてたら身代潰すんじゃね?と心配になる。スレたオバサンでごめんなさい(^^ゞ2023/07/28
タイ子
72
旅籠を扱った作品は多いけど、殆ど人情溢れるとか旅人を癒す料理の数々とかがテーマで描かれるけど、本作はそれ以外に描かれる部分で大いに泣かせてくれる。そこに命を見つめる心優しい人たちの姿があるから。何と言っても舞台の旅籠「つばくろ屋」の人たちがいい。普通、旅籠には飯盛り女と呼ばれる女郎さんを置いているが、つばくろ屋にはいない。そこに嫌なヤツから派遣された一人の女郎。彼女の出現で物語は大きく動き始める。女郎扱いしない店で変わっていく彼女の心情と人生。終盤は涙が止まらない。優しさと哀しみが同居する作品。2023/07/15
真理そら
58
「かわせみ」ではなく「つばくろ」という料理のおいしい御宿で展開するあれこれを描いた作品。看板娘・佐久はみんなに大事にされて生きているので自分の美しさにさえ無頓着ないい意味での鈍さがある。こんな女の子を好きになった弥多も自分の美しさに無頓着で内気な男。ほんわかした優しさが気持ちいい物語だった。2019/07/14
むつこ
32
シリーズ1作目。2作目を先に読んでしまい、かつ、その内容と印象を忘れていて主人公の両親って誰だっけ?と最後まで思い出せずに読んだ。ただ、1作目の主人公も2作目の主人公も天真爛漫の素直に育ちの良い人物でオバチャンの私から見たら「甘い!」と感じて己の汚れた心にがっかりした。 今は料理の美味しい旅館は当たり前のこと、映像で観たいな。2020/06/15