A4または麻原・オウムへの新たな視点

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A4または麻原・オウムへの新たな視点

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  • サイズ B6判/ページ数 240p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784768458211
  • NDC分類 169.1
  • Cコード C0036

出版社内容情報

「オウムは日本社会に誕生した絶対的悪である」が社会の空気。そのため麻原の死刑宣告も当然のこととして、日本社会に受け入れられている。本書の筆者もオウム真理教の犯罪は当然許されるべきものではなく、裁きを受けるのは当然と考える。しかし麻原は明らかに精神を冒されているし、裁判も刑事訴訟法に則った裁判を受けたとは思えない。地下鉄サリン事件の動機も明らかになっていない。これで、噂されている死刑の執行などがあれば、法治国家とは言えないだろう。そもそもあの事件は何故起きたのか、オウム真理教とはどんな宗教で、麻原とはどんな人間だったのか。そこに一歩でも近づきたくて、本書は編まれた。巻末にマンチェスター大学日本学シニア教授で、「メディアと新宗教の相互作用の研究」をしているエリカ・バッフェリ教授の解説を付けた。死刑執行が囁かれているいまこそ、もう一度事件を検証し直したい。

内容説明

平成犯罪史最大の謎「オウムサリン事件」!!いまだ解明されていない動機に迫る。裁判は教祖の精神崩壊を無視して判決を下した。弟子の暴走なのか。教祖の独断なのか。壮大な忖度なのか。森達也が元側近たちと麻原の深層心理を見つめる。

目次

1 オウム真理教との出会い(自分の内面を見つめたかった―深山さんの場合;進むべき道を探して―早坂さんの場合)
2 出家者の生活(出家者の日常;煙草と酒 ほか)
3 麻原彰晃の実像とは(つくられたイメージ;麻原彰晃という人物について ほか)
4 オウム真理教事件(転換点となった強制捜査;サマナの殺害 ほか)
5 いま、振り返るオウム真理教(脱会へ;假谷さん事件について ほか)

著者等紹介

森達也[モリタツヤ]
1956年、広島県呉市生まれ。映画監督、作家。明治大学情報コミュニケーション学部特任教授。98年、ドキュメンタリー映画「A」を公開、ベルリン映画祭に正式招待。「A2」では山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。2011年、『A3』(集英社インターナショナル)で講談社ノンフィクション賞受賞

深山織枝[ミヤマオリエ]
オウム真理教の元信者。前身の「オウム神仙の会」時代の1986年に入会、翌87年に出家。88年に独房修行を経て当時の中堅幹部の「大師」になる。省庁制度下では「労働省次官」を務めた。95年の地下鉄サリン事件後に脱会

早坂武禮[ハヤサカタケノリ]
オウム真理教の元信者。1989年に入信、二年後の91年に出家。翌92年に中堅幹部の「正師」(当時)になり、「広報局長」「自治省次官」などを務めた。95年の地下鉄サリン事件後に脱会(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hk

17
森達也氏とオウムの元中堅幹部2人による鼎談集。甚だ違和感が残る内容だ。というのも元中堅幹部のセリフは専門用語がてんこ盛りであり、市井の人々に伝えようという熱意が感じられないからだ。「この人達はやはり特殊なんだ」と思ってしまったのは私だけだろうか?森氏もそれを咎めたり注釈を入れないのは頂けない。オウムを取材しているうちにその集合的無意識に染まってしまったのだろうか。ジャーナリズムとは伝えることが至上の任務だ。伝わらない言葉では世の中は変えられないよ。これではオウムがやったことの二の舞ではないだろろうか。2018/06/06

pia

9
元信者のお二人と、森さんの対談。流石に4作目ともなると、森さんの同じ主張の繰り返しで新しさは無い。深山さん、早坂さんのお二人は彼らなりの筋の通った主張をされているように見えたのだけど(共感できるかどうかはともかくとして)、森さんが「ちょっと待って、それは理解できない」という話の止め方をするのが非常に気になった。「そういう考え方もする人がいる」事実が全てじゃないの?そうやって共感されにくい意見を「理解できない」と否定してしまう事と、森さんがいつも批判していたメディアがやってる事との違いはどこにあるんだろう。2021/01/24

すん

9
本で対談をしている早坂さんの、麻原とオウムを前にして日本社会は心をかき乱されて自分たちでつくったはずのルールを守れなくなったように見える、という言葉が印象的だった。心神喪失者を裁判にかける。麻原の子供に対して義務教育を拒否する。信者の住民票を受け取らない。いざとなると社会で憲法違反を行い、それに対して無自覚であることが証明されてしまった。であれば、少しでもましな人間になるためにどうすればよいか。どのような行動をとることが自分に恥じないのか。心の拠り所となる宗教を持たない人達こそ、よく考え行動する必要がある2019/02/21

imagine

8
渾身の作品『A3』に比べてずいぶん気前良くついた『A4』のタイトルは、悩んだ末に著書が冠したとのこと。元信者の二人に教団の生活やサリン事件当時の話を聞き、『A3』での仮説も検証してゆく内容。オウムの教義と完全に決別したわけではない元信者二人の回答は、どこか未練がましい。あまりに常識を逸脱するとさすがに著者が突っ込む(笑)。サリン事件については事態が予測できれば協力しなかった、と悪の凡庸さを露呈。服従(忖度)の構造が立ち上がる。オウムにおいてのミルグラムはまだ現れないと指摘する著書こそが、まさにその人では。2019/07/03

むっちょむ

6
麻原さんが死刑になってからオウムの人達がなぜあんな事件を起こしたか、気になって仕方なくて何冊か読んだうちの1冊。読んだ感想としては、オウムの信者さんは、いわばお坊さんのよう、ほんとに修行者だったんだなと。ときどき、その発想は独特すぎてついていけない。。きっと被害者の方が読んだらかなり不快なのでは?!と思う記述も何度があった。ただあの時代オウムが必要な人たちもなりいたわけで、そこを私たちは特殊な人達だけがハマった宗教と、捕らえていてはまた同じことを繰り返すと思った。2018/08/26

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