内容説明
第二次世界大戦下の東部戦線に、ドイツ軍に恐れられた一人のソ連女性スナイパーがいた。“大祖国戦争”という地獄の戦場に現れた、19歳の若き狙撃手の戦いを活写する。
著者等紹介
秋元健治[アキモトケンジ]
青森県弘前市出身。日本女子大学家政学部家政経済学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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クリママ
54
独ソ戦「戦争は女の顔をしていない」「同志少女よ、敵を撃て」を読み、この作品にたどり着いた。実在の女性狙撃兵ローザの日記、手紙、史実をもとにして書かれたドキュメンタリーノベル。多くの写真も載せられている。勉学を望んで200㎞を一人で歩きとおし列車に乗り兄の住む町へ。そこで共産主義運動に出会うも、ドイツ軍のソ連侵攻で参戦していた兄を失い、兵士に志願する。初めはただ祖国を守りたいという勇ましい気持ちばかりだったのが、戦闘で女性狙撃兵部隊の同僚である友人、上官を失い、自分のしていることに疑問が芽生え、戦争の⇒2022/07/29
つちのこ
39
息もつかせぬドキュメントを一気に読んだ。自ら志願し、女性の狙撃兵を養成する学校を出てソ連赤軍の兵士となり、わずか20歳で戦死した伝説の狙撃兵の話である。任務に就く兵士が日記や記録をつけることを厳しく禁止していた状況下で、奇跡的に残った日記は過酷な戦況とローザの心境の変化を綴っている。スターリン政権下で英雄として担がれ、祖国を鼓舞するプロパガンダの道具にされた彼女が、小隊を率いるリーダーとなった終盤には人の命の尊厳を悟る。穏やかになり、慈愛に溢れた女性らしさがにじみ出た死の直前に書かれた手紙が涙を誘った。2023/10/03
スー
25
36ローザ・シャーニナの手紙を元にした小説。54人を狙撃し20歳で女性狙撃小隊を率いたローザは気が強く上官にも怯まず意見を言い好奇心が強く真っ直ぐな少女が兄の戦死を知り軍に志願し戦争という現実を目の当たりにし打ちのめされ苦悩しながら戦争に立ち向かい成長していく。愛国心に燃え弁が立つ小生意気な小娘のローザが色々な体験をして変化し最後は自分と同じく小生意気な18歳の部下が来た時には対立しながらも優しく諭し慕われるように成長するのを見て感動してしまいました。ローザの最後の手紙は彼女が行き着いた心境が語られていて2021/03/08
ののまる
9
あれっ小説だった!のだけど、ローザの一番最後になってしまった手紙が泣かせる。2024/01/12
eiro
5
再読。「同志少女よ、敵を撃て」(購入待機中)のあらすじ聞いて、この本に似ているなと思い復習。ローザは実在した狙撃兵。取材された彼女の生い立ちや日記、手紙などの記録をもとに書かれたドキュメント小説。ポートレートや死亡証明書や墓などの写真を見ながら、彼女のたった20年の人生を戦死することがわかっていながら読み進めるのが辛い。たくさんの愛する人たちが死んでいく中、実直な彼女の生き様が愛おしい。あと4か月で終戦だったのに。終戦後の大きな夢もかなうことはなかった。さあ、「同志少女よ~」の期待はいやが上でも高まる。2022/01/16