内容説明
人類史上初めて書かれた原爆体験記は、一九四五年八月三〇日に発表された大田洋子の「海底のやうな光―原子爆弾の空襲に遭って(廣島にて)」だった。その後、GHQによって被爆記録は発表が禁止され、その核の脅威隠しがフクシマの悲劇に繋がる。顧みられない「原爆資料文献」1049タイトルを俯瞰し、原爆の教訓を生かそうとする渾身の労作。
目次
序章 こころなき日米合作“核の傘”安全保障神話
第1章 原爆テロが消した軍都廣島
第2章 無慾顔貌を黙殺した“ヒロシマの凄惨”隠し
第3章 生き地獄ヒロシマの原風景
第4章 背中のケロイドが語る―原爆一號と呼ばれた語り部の叙事詩
第5章 記憶を呼び覚ます情景―旧懐の日本一うまい肉うどん
第6章 明治親政に起因する戰前・戰中・戰後を縦走する
第7章 原子野に立ち込める死臭と空白の記憶
第8章 ファーレル声明に始まる血球破壊の闇
終章 原爆(後傷害)隠しに始まる戰後史
著者等紹介
森川方達[モリカワホウタツ]
「敗戦一〇年」の1955年、広島市に生まれる。1972年から月刊総合誌データマン、取材記者。以来、フリー・ジャーナリスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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田中峰和
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被爆2世の森川は原爆投下を「原爆テロ」と規定する。1945年8月30日付け朝日新聞の記事「海底のような光~原子爆弾の空襲に遭って(廣島にて)」は人類史上初めて書かれた原爆体験記となった。ところがその後、GHQによって被爆記録は発表禁止になり、占領下の原爆隠しとなる。その結果「原子力の平和利用」が始まり、フクシマの悲劇が起きた。いくら原爆の威力が語られても、人的被害は正確に語られなかった。なぜなら日米合作核隠しがあったから。この本は核の悲惨な歴史を網羅し、3000冊以上の文献をもとに書かれた52万字の労作。2016/07/13