内容説明
戦後、異なる体制下に生きた旧東西ドイツ人たちが、共に抱き続けたナショナリズムという心情。民族主義はドイツを何処へ導くのか。ドイツ保守層・右翼へのインタビューを通し、21世紀ヨーロッパの難問を明らかにする。
目次
第1章 東ドイツ人―ナショナリズムについて語る
第2章 ナショナリズムとしての反ロシア
第3章 ナショナリズムについて語ろう―西ドイツ人の場合
第4章 ポーランド
第5章 ユダヤカード
著者等紹介
平野洋[ヒラノヨウ]
1960年、横浜生まれ。ルポライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Sakana
5
題名に誘われて読んだが、実際は特に「右翼の系譜」については言及されていなかったので少し残念。しかし、取材が極右党のNPDや過激派団体にまで及んでいる点には、驚かされた。おもしろいルポルタージュだとは思う。しかし、少し著者の扇動的な書き口調には注意した方がいいかもしれない。とはいえ、個人的には、視座として色々得られたので読んで良かった。特にBdVという団体については全く知らなかったので、これを取っ掛かりに、ドイツ(特にDDR)とポーランドやチェコとの関係を洗ってみるのも良いかもしれない。2015/12/12
ろーじゃ
0
取材力が凄まじく、極右のNPD(国家民主党)にまで取材を行うのは圧巻。著者の文章はセンセーショナルな所があり、健全な主張をしているか怪しいと思いましたが、それを差し引いても、現在のドイツを取り巻く東西対立や人種の問題を見るには良いルポです。著者の方は当時の東ドイツへ留学しているので、左巻きか東部ドイツ人に肩入れしている位の構えで読んだ方が良いかもしれません。2012/10/13
roaming_south
0
「A級戦犯の祀られている靖国に参拝することは、ドイツの首相がヒトラーの祀られている場所にお参りにいくようなものです。」とか「日本の右翼はアメリカ依存だからナショナリズムではない」とか結構重たいことふわふわっと書いてしまっているが、ルポとはいえ、大丈夫なのだろうか…。やはりドイツ右翼の話題を日本と関連づけて話さず、著作のタイトル通りドイツ右翼だけをもっと系譜的に調査して欲しかった。東西分裂~現代ドイツ社会を復習するのに適しているかもしれない。ただ、取材力はすごい。こんな怖い人達のとこに自分は行けない。2011/09/14