いま読む!名著<br> 流されながら抵抗する社会運動―鶴見俊輔『日常的思想の可能性』を読み直す

個数:
電子版価格
¥2,420
  • 電子版あり

いま読む!名著
流されながら抵抗する社会運動―鶴見俊輔『日常的思想の可能性』を読み直す

  • ウェブストアに2冊在庫がございます。(2025年05月09日 08時52分現在)
    通常、ご注文翌日~2日後に出荷されます。
  • 出荷予定日とご注意事項
    ※上記を必ずご確認ください

    【ご注意事項】 ※必ずお読みください
    ◆在庫数は刻々と変動しており、ご注文手続き中に減ることもございます。
    ◆在庫数以上の数量をご注文の場合には、超過した分はお取り寄せとなり日数がかかります。入手できないこともございます。
    ◆事情により出荷が遅れる場合がございます。
    ◆お届け日のご指定は承っておりません。
    ◆「帯」はお付けできない場合がございます。
    ◆画像の表紙や帯等は実物とは異なる場合があります。
    ◆特に表記のない限り特典はありません。
    ◆別冊解答などの付属品はお付けできない場合がございます。
  • ●3Dセキュア導入とクレジットカードによるお支払いについて
    ●店舗受取サービス(送料無料)もご利用いただけます。
    ご注文ステップ「お届け先情報設定」にてお受け取り店をご指定ください。尚、受取店舗限定の特典はお付けできません。詳細はこちら
  • サイズ 46判/ページ数 216p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784768410226
  • NDC分類 309
  • Cコード C0310

出版社内容情報

 戦後日本思想界において間違いなく大きな存在である鶴見俊輔は、アメリカのプラグマティズムを日本に紹介した哲学家、また多岐にわたる領域への言及を重ねた評論家、さらには大衆文化への幅広い目配りをした著作なども数多く、なかなかとらえがたい巨大な存在と言えるだろう。本書は、そんな中でも、これまであまり触れられてこなかった、また著作物としてはほとんどない「社会運動家としての鶴見俊輔」に焦点を当てた。
 60年代の鶴見にとって社会運動へのかかわりはかなり大きな比重をもっていたが、時代の変化、そして本人の抱える身体的・精神的問題もあり、その空気感は次第に薄められていった。今回、この企画発案のきっかけとなったのは、2010年代の「オキュパイ」運動に端を発した新しい世代による社会運動の世界的な盛り上がりである。日本でも、東日本大震災以降、2012年の原発再稼働反対、2015年の戦争法案反対運動など、ながらく無風だった社会においてある変化の兆しが見られた。そこには、60年代から70年代安保の時代での社会運動が持っていた熱や理想主義とは違う、新しい感覚による市民の動きがあると著者は見立てる。それは、従来のいわゆるポジティブで前向きな大きなものを反転させたもので、あくまで個人的なリアリティを持てるもっと小さなサイズの運動で、そこには3つの反転発想がある。
1.「理想的な社会の建設を目標とする」⇒「理想到達ではなく最悪を回避するための抵抗」、
2.「自らをしっかりと確立し主体的に動いていく」⇒「流されていく中で自己と向き合い自分の言葉で考え発見していく」、
3.「他者を巻き込んで大きな流れにしていく」⇒「渦の大きさではなくまず自分のための社会運動を目指す」。
このようなネガティブさを含みつつ「後ろ向き」のままで、社会や政治にかかわっていこうという鶴見の特異な運動理論が、自己責任論の中での生きづらさや疎外感を感じる若い世代への一つの可能性を持つのではないだろうか。本書ではそんな新しい社会運動論を提示してみた。

内容説明

一億総「前向き」社会の中、「後ろ向き」のまま、社会を変えるための運動に携わることは可能なのか。知の巨人・鶴見俊輔を、今改めて、社会運動論として読む。

目次

序章 なぜ「鶴見俊輔と社会運動」なのか
第1章 一九六〇年代と「市民運動」(出発点:アメリカ留学とプラグマティズム;一九六〇年代前史:「思想の科学」;六〇年安保と「声なき声の会」;ベ平連;一九七〇年代以降をどう見るか)
第2章 『日常的思想の可能性』を読む(プラグマティズムによる社会運動論:『限界芸術論』との対比から;「言葉」を通した日本社会批判;集団の組み方;社会運動のための知恵)
第3章 鶴見俊輔を位置づける(丸山真男からの批判;補助線としての「ベ平連」;小田実との差異;吉本隆明との接点)
第4章 流されながら社会に関わる(そもそも社会運動とは何か;鶴見俊輔の社会運動論;押し流されながらの主体性;ためらいつつの社会運動論)
終章 鶴見俊輔を「現在」こそ読む

著者等紹介

松井隆志[マツイタカシ]
1976年、千葉県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。現在、武蔵大学社会学部教員。専門は社会運動論、戦後日本の歴史社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おたま

32
これは鶴見俊輔の『日常的思想の可能性』を手掛かりとして、社会運動をもう一度見直してみようとしたもの。鶴見俊輔の本については、ほんの少しだけ読んだことはある。そしてもちろんかつてベ平連の中心にいたことも知ってはいる。だが、彼の思想とその運動との結びつきを、このようにして考えてみたことはなかった。この本からは、鶴見の運動との関わりは、例えば小田実(べ平連代表)とはかなり異なるようだ。これまで小田実を通して(例えば『世直しの倫理と論理』)しかべ平連の運動を知らなかったが、この鶴見俊輔の『日常的思想の可能性』⇒2024/05/05

tu-ta

2
PP研が会場の戦後研で扱うというので、その当日に4章から読み始めたが、面白い。鶴見俊輔って、ほとんど読んでなかったけど、好きだなぁと思った。流されながら、抵抗しようと思いつつ、抵抗できてないぼくにはぴったりだ。好きなフレーズ、「ほとんどの場合に、思想は、行路の途中で気づかれた思想である」(185頁で引用されてる)(『私の地平線の上に』208-209)。そういえば、辻信一さんは米国で鶴見と出会って変わったとか。確かにありそうな話だけれども、辻さんには、ちゃんと革マル派だったときのことも書いて欲しい。続く2024/03/20

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21809981
  • ご注意事項

    ご注意
    リンク先のウェブサイトは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」のページで、紀伊國屋書店のウェブサイトではなく、紀伊國屋書店の管理下にはないものです。
    この告知で掲載しているウェブサイトのアドレスについては、当ページ作成時点のものです。ウェブサイトのアドレスについては廃止や変更されることがあります。
    最新のアドレスについては、お客様ご自身でご確認ください。
    リンク先のウェブサイトについては、「株式会社ブックウォーカー」にご確認ください。

最近チェックした商品