内容説明
本書は芸術的観点と商業的観点の両方から映画ポスターの歴史を紹介すると同時に、ポスターをデザインしたアーティストやスタイルの変遷、政治やイデオロギーの影響、映画の商業的側面がポスターの発展に果たした役割などを解説。さまざまな国で作られた、あらゆる時代の芸術的なポスターを多数掲載している。チャールズ・チャップリンの演じた放浪者チャーリーは、どのようにしてお馴染みのキャラクターになったのか?あるいは、グレタ・ガルボの神秘的な雰囲気はどのように宣伝されたのか?さらにはブロックバスター映画の歴史、年代ごとのグラフィックデザインの変遷、デジタル時代におけるポスターの役割まで、幅広い観点で映画史に迫っていく。映画、芸術、そして観客を惹きつけるための映画ビジネスを巡る、楽しく興味の尽きない旅に出てみよう。
目次
INTRODUCTION
1910年代
1920年代
1930年代
1940年代
1950年代
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代以降
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
70
映画の始まりから、2010年代まで、10年を一区切りとしながら映画ポスターで映画史を語っていく。最初は、ミュシャやロートレックの映画以前から。映画史を追っていくが、合間に映画ポスターのデザイナーについても触れている。ポスターがイラストから写真中心に変わっていくのは、1960年代くらいからなのだということが分かる。時代時代を反映した映画ポスターの数々を見ながら、自分の辿ってきた映画史を振り返る。やっぱポスターとしては、初期の方が味があるなあと思ってしまう。解説で触れている映画で画像がないものもあるのが残念。2021/01/11
kaz
4
サブタイトルどおり。映画ポスターの変遷がわかって面白い。以前は、映画に出てくるシーンがてんこ盛りだったのが、最近では登場人物の内面にフォーカスしたポスターの評価が高いようだ。風と共に去りぬなどは、広く知られた方ではないポスターが紹介されている。マニアックな本だと思う。2019/10/31
minamimi
3
単純に楽しい。記述はあるけどポスターの写真が載っていないものもあり、ネットで調べれば良いのだけれど、ちょっと残念に思った。図書館本なのだが、所々に5ミリ幅のマスキングテープが貼ってあり、貼ってある箇所は西暦年(1940など)や文中の一部(ポスターのポスだけとか)や余白だったりして脈略もなく、一体何なのだろう?2020/07/11
リチャード
3
1テーマあたり2ページ、多いものでも4ページの分量なので若干の食い足りなさをあるけれど、それでも400点以上のポスターアートとともに映画100年の歴史を駆け抜けていくのは大変楽しかった。この本を読むまで知らなかった『ハレルヤ』のポスターがめちゃくちゃカッコいい。2020/05/30
doji
3
映画がハリウッド、プロパガンダ、インディペンデント、エクスプロテイションなどなど、さまざまなメディアとしての性質を帯びる時期ごとに、コミュニケーションとしてのデザインのあり方というものがあって、その変遷を豊かなビジュアルでたどることができるいい本だなと思う。そのまま広告の歴史ともクロスオーバーしていくのもおもしろい。デジタル端末が標準化したいま、逆に動画な場面写真をフルに使った宣材ビジュアルばかりで、そこにデザイナーの解釈が入らなくなってきているのはさみしい限りだと思う。2019/10/24