出版社内容情報
横山大観、伊藤若冲、東山魁夷、竹内栖鳳、速水御舟..日本画の超名作たちを色別に鑑賞!!豊かな色彩を切り口に、あえて時代や作者を問わず「色別」に編集。①赤(朱・蘇峰・珊瑚)②青(群青・藍)③黄(黄土)④緑(緑青)⑤金・銀・白金 ⑥白(胡粉)⑦黒(墨)の7つの章ごとに、画家がその色に魅せられたエピソード、その色を使うことで狙った効果や、色彩心理学でわかる制作時の精神状態など、色に焦点を当てて読み解いていきます。
内容説明
色と日本画家との関係を読み解いていきましょう。本書では、色別に日本画の作品を掲載しています。「東山ブルー」、「元宋の赤」のような作家の代名詞といえる色はもちろん、日本画家と色の意外な結びつきも紹介します!
目次
赤
青
黄
緑
金、銀
白
黒
著者等紹介
三戸信惠[ミトノブエ]
山種美術館特別研究員。1967年広島県生まれ。東京大学大学院博士課程満期退学。サントリー美術館に勤務し、「鳥獣戯画がやってきた」展、「清方ノスタルジア―名品でたどる鏑木清方の美の世界」展などを企画・担当。2010年より現職に就き、日本画を中心とした展覧会の企画に携わる。専門は日本絵画史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
165
日本画の巨匠たちの作品を赤、青、黄、緑、金銀、白、黒の色別に味わう一冊。例えば赤は伊藤若冲の「南天雄鶏図」の強烈な赤、川端龍子の「五鱗」の四匹の真鯉と紅一点の緋鯉の赤、上村松園の「娘」の襟元や袖口からわずかにのぞく鮮やかな赤などチョイスの仕方が絶妙で面白い。私は東山魁夷の「年暮る」の青の京都、福田平八郎の「漣」の銀色の地に広がる波立つ水面が好みでした。制作時のちょっとしたエピソードも楽しいです。山種美術館を訪れたくなりました。2020/05/23
kinkin
83
基調とする色を挙げて有名な日本画の紹介と解説。赤、黒、黄、緑、金・銀、白、黒。それぞれの色の素材も合わせて書かれていたので興味深く読めた。日本画の顔料は自然界から得ているものが多くそれも希少で高価なものが多いこと。テレビ番組で美術品の鑑定をするものがあるがひとつひとつの解説はサラッと済ませたものばかり。昔臭いとうイメージの日本画もよい解説をしてもらえればじっくりと見たくなる。 まずは本物をみたいなあ。図書館本2018/10/05
アキ
45
赤は辰砂、鉛丹、弁柄。青は群青。黄色は黄土。緑は緑青。金箔・金泥。白は胡粉。他にも鉛白・白土。黒はなんといっても墨。松煙墨・油煙墨などに分かれる。東山魁夷の「東山ブルー」や速水御舟の燃えるような「炎舞」の赤、若冲の軍鶏の赤と黒の対比などどれもいいが、一番印象的だったのは川端龍子の『爆弾散華』で使われた金箔。東京の自宅に終戦直前に米軍の爆弾が落ちて命を落としかけた。終戦の2か月後に発表され「平和の使徒としての美術建設」の宣言を現わしている。多くは山種美術館からの作品だが、大田区立龍子記念館も気になる。2018/11/14
booklight
41
三戸信恵さんのセンスと合うのかな。チョイスされた絵がぐっとくることが多く、トリミングされた部分もいい感じ。速水御舟は知らなかったし、川端龍子の外連味がなかなかいい。大観や魁夷はさすがの安定感で、土牛や若冲は色で見ても際立っていて、福田平八郎の『漣』や奥田元宗の『奥入瀬(秋)』などは驚いたり引き込まれたり。見たことある絵も改めて色に注目してみると、いっそう引き込まれたりする。日本画を改めてまとめてみると、シンプルでフラットな構成は結構好きかも。山種美術館からの紹介も多いので、行ってみたくなってしまう。2023/08/06
ネジ
38
★★★★★ 19〜20世紀に描かれた日本画のうち、山種美術館に所蔵されている作品を色の系統で分類し紹介する内容。本書掲載の作品の色彩の鮮烈さに圧倒され、山種美術館で直に作品を見たくなった。 ①『年暮る』東山魁夷:雪の降る大晦日の京都に青白く浮かび上がる町家。夕暮れ直後の夜景を思わせる。 ②『爆弾散華』川端龍子:空爆により再演の野菜が吹き飛ぶ瞬間の閃光、衝撃を金箔で表現した作品。心の底から直に見たいと思った。 ③『翠苔緑芝』速水御舟:金地に単純化された緑青の芝生が描かれた作品。浮世離れした気持ちになれる。2023/12/31