出版社内容情報
この困窮は、だれのせい?
かつて「世界の工場」と呼ばれたイギリス――栄華の陰で、拡大する貧困に大勢が喘いでいた。
個人に、社会に、国家に何ができ、なぜそうすべきなのか?
「市民的道徳性(シティズンシップ)」を手がかりに現代へと至る福祉国家の知的水脈をたどる。
・19世紀イギリス――繁栄の陰で無数の人が貧困に喘いでいた。
・個人は、社会は、国家は何ができ、何故そうすべきなのか。
・初期フェミニズムや優生学との影響関係についても詳解。
ふたたび資本主義の問題が叫ばれている今日、福祉国家の知的源流に立ち返り検討する。T. H. グリーンやボザンケ夫妻らを中心とする19 ~ 20 世紀イギリスで花開いたリベラリズムに光を当てることで、彼らが思い描いた、誰もが「市民的道徳性(シティズンシップ)」を涵養・発揮できる社会のあり方を展望する。
【目次】
序章 貧困が奪うもの――リベラリズムの社会思想史
第1章 新救貧法と国教会改革――一九世紀リベラリズムの展開
1 はじめに
2 救貧法の展開と古典的自由主義
3 社会的リベラリズムの萌芽――リベラル・アングリカニズムの宗教思想
4 おわりに
第2章 トマス・ヒル・グリーンの社会的リベラリズム――宗教・倫理・政治
1 はじめに
2 リベラル・アングリカニズムの継承
3 クリスチャン・シティズンシップの倫理学
4 権利論――グリーンの政治哲学(一)
5 国家論――グリーンの政治哲学(二)
6 おわりに
第3章 「貧民」から「市民」へ――ボザンケ夫妻の国家論と救貧論
1 はじめに
2 国家とシティズンシップ
3 チャリティとシティズンシップ
4 おわりに
第4章 社会改革と市民の権利――ホブスンとホブハウスのニューリベラリズム
1 はじめに
2 社会主義、帝国主義、リベラリズム
3 ホブスンの分配論――生産・所有・福祉における「社会」の発見
4 ホブハウスのシティズンシップ論――リベラリズムと社会学
5 おわりに
第5章 女性の貧困とシティズンシップ――バトラーとラスボーンのフェミニズム
1 はじめに
2 ジョゼフィン・バトラーとヴィクトリアン・フェミニズム
3 エレノア・ラスボーンと「新しいフェミニズム」
4 おわりに
第6章 優生学とリベラリズム――シティズンシップの境界
1 はじめに
2 世紀転換期のイギリス優生学と社会的リベラリズム
3 C・P・ブラッカーと「リベラルな優生学」
4 おわりに
終章 戦後イギリス福祉国家とシティズンシップのゆくえ
1 はじめに
2 ベヴァリッジのリベラリズム
3 「豊かな社会」の到来とシティズンシップ論の喪失
4 シティズンシップ論の再興と転倒
5 私たちのシティズンシップ――新しい社会福祉思想に向けて
参考文献/あとがき/索引



