出版社内容情報
芸術とは何か、いよいよ明らかにされる――
20世紀以降の芸術の定義をめぐる哲学的系譜を丹念に辿りながら、「命題態度説」という独自の定義に到達する壮大な思索の軌跡
芸術とは何か──この問いは、古代から現代に至るまで諸領域において繰り返し立ち現れてきた。本書は、分析哲学系の芸術定義200種類あまりを網羅しながら、芸術の本質を再考する試みである。20世紀以降の美学的言説に加え、現代アートの実践や批評理論を参照したうえで、「命題態度説」という独自の定義を提示する。
芸術をめぐる議論の複雑性に対して、理論的厳密さと柔軟な思考をもって応答し、芸術哲学の地平を更新する包括的な書。
【目次】
〈芸術定義枝分かれ図〉
序
第1章 芸術定義論の哲学的地位
1 定義の諸様相と諸規範
2 二つの試練――錯誤理論と反例論法
第2章 美的定義の諸理論
1 形式的対処と頑固な本質主義
2 「美的」の再解釈
3 「作品」の再解釈
4 「美的」を「作品」に帰属させる方法の再解釈
5 真偽認定の再解釈
6 美的錯誤理論への耐性獲得
第3章 非美的定義・反定義の諸理論
1 「美的」の放棄
2 本質主義の放棄
3 必要十分条件の放棄
4 定義の放棄
5 実在論の放棄
6 認知主義との決別
第4章 美的定義の蘇生
1 美的定義への回帰
2 究極の美的定義――命題態度説
3 命題態度説の評価
第5章 なぜこの芸術史か――人間原理的芸術観
1 命題態度説からこの芸術史へ(観測選択効果)
2 この芸術史から命題態度説へ(コペルニクス原理)
あとがき
参考文献(人名索引)
事項索引



