出版社内容情報
進化論的アプローチで「意識の難問」に挑む
科学哲学、生物学、心の哲学の学際領域への招待
私たちの主観的経験に結びつけられる意識。この意識は脳・神経系という物理的な存在から発生するにもかかわらず、科学的な解明が難しいとされる。本書は「意識の難問」に対して進化論的アプローチから挑み、意識科学の方法論の再構築を目指す。
内容説明
進化論的アプローチで「意識の難問」に挑む。科学哲学、生物学、心の哲学の学際領域への招待。
目次
第1章 意識
第2章 行為者性
第3章 目的
第4章 意識と目的の進化
著者等紹介
田中泉吏[タナカセンジ]
慶應義塾大学文学部准教授。専門は科学哲学
鈴木大地[スズキダイチ]
筑波大学生命環境系助教、北海道大学人間知×脳×AI研究教育センター(CHAIN)客員研究員。専門は進化形態学、神経行動学、動物意識研究
太田紘史[オオタコウジ]
筑波大学人文社会系准教授。専門は心の哲学、倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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zunzun
4
意識とは何なのかを書いた本。形而上的な哲学本では意識について考えると無限後退を引き起こしてしまい、キリがない。本書のような科学哲学とよばれる分野では進化論、心の哲学、生物学などの科学的な研究を通して「意識」を解剖していくのが特徴である。80頁ほどだが、思弁だけの哲学では得られない、実証的な旨味によって構成された科学哲学の面白さを知るには簡便な書といえる。本書ではアリストテレスの《目的論》の復権と修正、そしてデメット《生成評価の塔》でいうスピナー型生物における「意識」の研究をすることの重要性が語られている。2024/05/27