出版社内容情報
▼『井筒俊彦英文著作翻訳コレクション』、堂々完結!
▼世界に井筒の名を知らしめた主著、待望の邦訳
▼東洋における二大叡智――スーフィズムと老荘思想――の真髄を解き明かす、比較哲学的考察。
日本語著作の空白の時代を埋める最重要著作――『井筒俊彦全集』と併せて、井筒思想の全貌が明らかになる。
上巻は、イスラーム神秘哲学の頂点、イブン・アラビーの存在論
内容説明
世界に井筒の名を知らしめた主著、待望の邦訳。東洋における二大叡智の真髄を解き明かす。上巻は、イスラーム神秘哲学の頂点、イブン・アラビーの存在論
目次
第1部 イブン・アラビー(夢と現実;絶対性の状態にある絶対者;人間の自己知;形而上の収斂と現象における拡散;形而上学的混乱;絶対者の影;神の名;アッラーと主;存在論的な慈しみ;生命の水 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
著者は他書でイブン・アラビーを華厳哲学の事事無礙やユダヤ思想の超越と比較するが、本書では老荘思想の道と出合わせる。上巻は後代のカーシャーニーの解釈を基点とし、スーフィズムに影響を与えたプロティノスの超越的「一者」の「流出」を重ねてイブン・アラビーの存在一性の顕現に注目する。存在一性論では絶対的な神の似姿として完全人間(最後の完全人間はムハマンド)を顕現させ、マクロな宇宙とミクロの人間の照応関係を説明する。ここから著者は、その流出する宇宙を常に主語である超越的一者→中間的な完全人間→人間の3層に構造化する。2021/02/05
bapaksejahtera
5
井筒俊彦は学究生活の盛期を海外で過ごした。著作も邦語以外の物が大半だそうだ。邦文全集目録を見ると理解したかはともかく私もかなり目を通している。今回英文からの翻訳全集を初めて手にとった。本巻ではイスラム神秘主義の巨人イブンアラビー著「叡智の台座」を主題にプロティノスに始まる「一者からの流出論」由来の精緻な存在論を説いた同著に触れる。難解な所はなく今や至るところで迫害されるスーフィズム神学の一端を理解できる。その「存在の六層」と唯識仏教八識や如来蔵との通底、異教もまた神への信仰とする寛容には同感せざるをえない2020/03/10
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