ユリアヌスの信仰世界―万華鏡のなかの哲人皇帝

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ユリアヌスの信仰世界―万華鏡のなかの哲人皇帝

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  • サイズ A5判/ページ数 277,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784766423822
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C3022

出版社内容情報

「背教者」として知られる古代ローマの哲人皇帝ユリアヌスの信仰世界を、精緻な史料分析によって明らかにする意欲作。▼ユリアヌスはなぜ

キリスト教に背いたのか?



やんごとなき生まれの文人が政治に出遭う時、

本人さえも予想もしなかったディストピアが開かれてゆく――。

「背教者」として知られる古代ローマの哲人皇帝ユリアヌスの信仰世界を、

精緻な史料分析によって明らかにする意欲作。



紀元後4世紀のローマ皇帝ユリアヌス(331/2-363年、在位361-363年)は、単独統治権を獲得するに至ってコンスタンティヌス以来の親キリスト教政策を放棄し、突然に「父祖たちの遺風」の復興を命じて同時代人を当惑と混乱に陥れた。ユリアヌスの没後、彼の出現は在位中の天変地異や365年7月21日に東地中海を襲った地震と津波に加えて、ユリアヌスの母方の縁戚である簒奪帝プロコピオスの蜂起と鎮圧・刑死と結びつけて語られるようになり、5世紀中葉には「背教者」像が確立される。彼の著作はビザンティン世界における政治と教会批判の具として用いられ、文藝復興期には「古典の擁護者」としての側面も注目されるようになるが、その著作と事績の本格的な再評価は20世紀を待たねばならなかった。



「背教者」として知られるローマ皇帝ユリアヌスの信仰世界の実像を、精緻な史料分析によって明らかにする意欲作。

はじめに ―― 天変地異とユリアヌス



第1章 万華鏡のなかの哲人皇帝

    1 ユリアヌスの生涯と著作

    2 物語を生む物語 ―― 史料と解釈史

    3 研究の視角と本書の問題意識

    4 テクニカルタームの問題

      ―― 「ヘレニズム」「異教」「非理性」の相のもとにユリ

      アヌスを観察することは適切か



第2章 幻影の文人共同体を求めて

    ―― 単独統治期以前のユリアヌスの精神的形成

    1 光と闇と「穢れた血」 ―― ユリアヌスの家門意識と半生へ

      の回顧

    2 「ヘラース」体験の萌芽と「よきキリスト教徒」としてのユ

      リアヌス

    3 先行する思想 Ⅰ ―― 330年代から350年代までの教会情勢

    4 先行する思想 Ⅱ ―― 「世界市民」としての君主像とイア

    ンブリコスの祭儀観



第3章 理想の潰走

    ―― ユリアヌスの宗教政策とその具現化の過程

    1 哲人たちの宮廷

    2 勅法のコスモロジー

    3 具現化の過程 Ⅰ ―― 碑文にみる宗教復興の実態

    4 具現化の過程 Ⅱ ―― 都市への関心

    5 具現化の過程 Ⅲ ―― キリスト教徒との対立のエピソード

    6 具現化の過程 Ⅳ ―― 帝国東方の小都市と教会史家の叙述

    7 ユリアヌスの宗教政策の暴力性



第4章 ユリアヌスの信仰世界 Ⅰ

    ―― 現状の認識  悪しきミュートスを語る者たち

    1 「堕落したヘレネス」の祝祭観

    2 通俗哲学者としての「犬儒者」への疑念

    3 キリスト教への幻滅

    4 原点への回帰

    5 展望 ―― ミュートスの解釈のゆくえ



第5章 ユリアヌスの信仰世界 Ⅱ 

    ―― 理想国家の宗教

    1 宇宙のなかの神々と人間

    2 「ローマはギリシアの友邦である」 ―― 宗教地誌と哲人統

      治国家の宗教

    3 理想国家の教導者としての神官

    4 理想国家の宗教と修養、そのはかなさ



第6章 理想化されたギリシアへの当惑

    ―― ナジアンゾスのグレゴリオスのユリアヌス批判

    1 作品の背景と研究史

    2 『ユリアヌス駁論』第一弁論・第二弁論の梗概

    3 ユリアヌスの信仰世界と理想国家の宗教 ―― 再訪

    4 ユリアヌスによって理想化された「ヘラース」像への疑義

    5 ユリアヌスの「愛智」への当惑

    6 展望



おわりに ―― 万華鏡のなかの哲人皇帝、ふたたび

    1 「ヘラース」への憧れと挫折・再訪

    2 キリスト教と「堕落した愛智」「堕落したヘレネス」への疑

      義から発するもの

    3 研究の展望 ―― 古代末期における宗教概念をめぐる諸問題

    4 エピローグ ―― 「軽率な君主にも神は恩恵を与えた」





あとがき

参考文献



索引

中西 恭子[ナカニシ キョウコ]
中西 恭子
東京大学大学院人文社会系研究科研究員。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て明治学院大学・津田塾大学ほか非常勤講師。東京大学文学部西洋史学科、東京大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻西洋史学専門分野修士課程を経て東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野博士課程修了。博士(文学)。古代末期地中海宗教史・宗教文化史、古代地中海世界の宗教像の受容史。主な論文に「ユリアヌスの「ギリシア人の宗教」とナジアンゾスのグレゴリオス『ユリアヌス駁論』における「ことば」と「真の愛智」、「幻影の人の叢林をゆく 西脇順三郎から見た折口信夫」。翻訳にキース・ホプキンズ『神々にあふれる世界』(共訳、岩波書店、2003年)、シナイのネイロス「修徳修行の書」(『フィロカリア』第2分冊(新世社、2013年)所収)など。

内容説明

ユリアヌスはなぜキリスト教に背いたのか?やんごとなき生まれの文人が政治に出遭う時、本人さえも予想しなかったディストピアが開かれてゆく―。「背教者」として知られる古代ローマの哲人皇帝ユリアヌスの信仰世界を、精緻な史料分析によって明らかにする意欲作。

目次

第1章 万華鏡のなかの哲人皇帝
第2章 幻影の文人共同体を求めて―単独統治期以前のユリアヌスの精神的形成
第3章 理想の潰走―ユリアヌスの宗教政策とその具現化の過程
第4章 ユリアヌスの信仰世界1―現状の認識 悪しきミュートスを語る者たち
第5章 ユリアヌスの信仰世界2―理想国家の宗教
第6章 理想化されたギリシアへの当惑―ナジアンゾスのグレゴリオスのユリアヌス批判
おわりに―万華鏡のなかの哲人皇帝、ふたたび

著者等紹介

中西恭子[ナカニシキョウコ]
東京大学大学院人文社会系研究科研究員。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て明治学院大学・津田塾大学ほか非常勤講師。東京大学文学部西洋史学科、東京大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻西洋史学専門分野修士課程を経て東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野博士課程修了。博士(文学)。古代末期地中海宗教史・宗教文化史、古代地中海世界の宗教像の受容史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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いとう・しんご

10
「ヒュパティア」の訳者の単著。古典ギリシャ世界に強い憧憬を抱き、往事のような社会を作ろうとした哲人皇帝の時代錯誤の裏にある思想を読み解こうとする。途中からハイデガーのギリシャ世界への異常な憧れとその後継者としてアーリア人を位置づけた狂気を思いながら読みました。国教化によって社会的影響力を獲得したキリスト教会の暴力的な内部対立や他宗教への排撃などの反知性主義への対抗策が、新プラトン主義に立脚した哲人政治政策であったというのも、興味深い発見でした。2022/11/20

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