出版社内容情報
ユダヤ教の中に、一つの哲学的洞察を認めた哲学者レヴィナス。20世紀ヨーロッパ・ユダヤ精神史を描く、レヴィナス評伝の決定版。
▼哲学的生はいかに形成されるのか
ユダヤ教の中に一つの哲学的洞察を認め、自らそれを生きた哲学者レヴィナス。
レヴィナスを一つの結節点とする知的ネットワーク、
20世紀ヨーロッパ・ユダヤ精神史を描く、レヴィナス評伝の決定版。
20世紀を代表する哲学者レヴィナスは、リトアニアのカウナスに生まれ、第一次世界大戦の混乱期にウクライナに移住した。フランスのストラスブールでフランス哲学と共和国理念に触れ、ドイツのフライブルクでフッサールとハイデガーの薫陶を受けたレヴィナスは、その後、フランス兵として出征した第二次世界大戦で捕えられ、5年間をドイツ北部ハノーノヴァー近郊の捕虜収容所で過ごした。
ホロコーストを生き延び、戦後のフランスにおいて、長らく世界イスラエリット連盟付属の教育機関、東方イスラエリット師範学校校長を務めたレヴィナスは、毎週土曜日にはユダヤ教の思想についての講義を続ける傍ら、哲学雑誌への寄稿も怠らず、50代半ばにして主著『全体性と無限』が認められ、遅咲きの哲学者としてのキャリアをスタートさせる。
哲学の言語に、ユダヤ教の遺産が持つ閃き、響き、色彩を以っていっそうの輝きを与えた哲学者レヴィナスは、はたして自らの哲学をどのように生きたのか。
レヴィナスが生きた世界の実像をあますところなく描き出す傑作評伝。
旅立ち
はじめに
<b>幼年時代</b>
<b>?T さまざまな場所</b>
<b>第1章 カウナス</b>
住まい / 初恋 / 騒乱と熱狂 / 伝統から現代へ / リトワック /
サランテルの遺産
<b>第2章 ストラスブール</b>
文学から哲学へ / 教授陣 / 目覚めをもたらした二人 / 痩せとずんぐ
りの二人組 / 断層 / 脱出と和解
<b>もしもし</b>
<b>第3章 フライブルク・イム・ブライスガウ</b>
フランスへのフッサールの紹介者 / フランスでの一件 / 星と十字
架 / ダヴォスでのハイデガー / 笑いと涙
<b>第4章 パリ</b>
登録手数料免除 / ライッサ / 世界イスラエリット連盟 / マリタンと
ローゼンツヴァイク
<b>第5章 捕囚生活</b>
ライッサの手紙 / 捕虜収容所にて / 収容所の一日 / 抵抗 / 被収容
者たちの共同体 / 深淵の光景 / あたかも啓示のように
<b>痕跡</b>
<b>第6章 東方イスラエリット師範学校の日々</b>
ある追悼の集い / 規則 / 家庭の父 / ボーイスカウトとタルムー
ド / テレーズ夫人 / 生徒と弟子
<b>第7章 ラシー講義</b>
毎週恒例の典礼 / 「そして、これを語り聞かせなさい」 / 「我ここ
に」 / 「行きなさい」 / 預言 / 石 / 講義に集う面々 / 愛着 /
雲 / 戒律 / 貧しき者 / 「言うために」 / 節制 / 悪口 / 売春 /
モーセ / 子孫
<b>第8章 タルムード講話</b>
ユダヤ知識人会議 / 二三回の講話 / 革命とカフェ / 戦争
<b>ある出会い</b>
<b>?U さまざまな顔</b>
<b>第1章 水先案内人と流れ星 ―― ヴァールとシュシャーニ</b>
形而上学者兼詩人 / 哲学コレージュで / 博士論文から別離まで /
ホームレスにして預言者 / 謎が残した痕跡
<b>第2章 悪しき天才 ―― ハイデガー</b>
以前と以後 / 怒り / 矛盾の結び目 / 死という未来
<b>第3章 分身にして裏面 ―― デリダ</b>
待ち合わせ / 印象深い振る舞いとやり取り / 隔たりと裂け目 / ボー
フレ事件 / ブータンをめぐる逸話 / 差異と近さ
<b>「言ってみれば」</b>
<b>第4章 近さと遠さ ―― リクール</b>
聖書をめぐって / 教皇をめぐって / 善と名と忠実さ / ヨーロッパ
<b>第5章 文書管理人と先駆者たち ―― ビュルグヒュラーヴと紹介者たち</b>
貨幣と大公 / 名声への階段 / キリスト教徒たち / ショーレムの眼差
し / 願い
<b>第6章 貴族と枢機卿 ―― カステッリとヨハネ=パウロ二世</b>
現象学的な枢機卿 / 結び付き / 言葉なき懇願
<b>ほのかな輝き</b>
<b>第7章 典礼と日常生活 ―― 娘シモーヌと孫ダヴィッド</b>
優しいがヘマな父親 / 家族の遺産 / 自由と責務
<b>第8章 モンテーニュとラ・ボエシー ―― ネルソン博士</b>
隣人としての付き合いから献辞を捧げられる者へ / 家族付き合い /
ハヴァ / 道路標識
<b>第9章 ゴーゴリの鼻 ―― 息子ミカエル</b>
散らばった紙片 / 息子と父 / 世俗的なものの裂け目 / 引き裂かれた
草稿
<b>紅茶</b>
第10章 世間からの認知</b>
転機 / いくつかの矛盾 / 先祖たちと後裔 / 終わりなき読解
<b>第11章 イェルサレムのレヴィナス</b>
本棚 / シオニズム / サブラー・シャティーラ / 古きものと新しきも
の
<b>キプール</b>
訳者解説
参考文献
原註
【著者紹介】
サロモン・マルカ
1949年モロッコ生まれ。フランスで活躍するユダヤ人作家・ジャーナリスト。東方イスラエリット師範学校ではレヴィナスに直接学ぶ。ユダヤ人コミュニティ向けの総合誌『ラルシュ』誌編集長を務めたほか、『マガジン・リテレール』誌をはじめとする文化・学術雑誌に多く寄稿する。エマニュエル・レヴィナス、フランツ・ローゼンツヴァイクなどのユダヤ人哲学者の伝記や概説書など多くの著作がある。
内容説明
哲学的生はいかに形成されるのか。ユダヤ教の中に一つの哲学的洞察を認め、自らそれを生きた哲学者レヴィナス。レヴィナスを一つの結節点とする知的ネットワーク、20世紀ヨーロッパ・ユダヤ精神史を描く、レヴィナス評伝の決定版。
目次
1 さまざまな場所(カウナス;ストラスブール;フライブルク・イム・ブライスガウ;パリ;捕囚生活;東方イスラエリット師範学校の日々;ラシー講義;タルムード講話)
2 さまざまな顔(水先案内人と流れ星―ヴァールとシュシャーニ;悪しき天才―ハイデガー;分身にして裏面―デリダ;近さと遠さ―リクール;文書管理人と先駆者たち―ビュルグヒュラーヴと紹介者たち;貴族と枢機卿―カステッリとヨハネ=パウロ二世;典礼と日常生活―娘シモーヌと孫ダヴィッド;モンテーニュとラ・ボエシー―ネルソン博士;ゴーゴリの鼻―息子ミカエル;世間からの認知;イェルサレムのレヴィナス)
著者等紹介
マルカ,サロモン[マルカ,サロモン] [Malka,Salomon]
1949年モロッコ生まれ。フランスで活躍するユダヤ人作家・ジャーナリスト。東方イスラエリット師範学校ではレヴィナスに直接学ぶ。ユダヤ人コミュニティ向けの総合誌『ラルシュ』誌編集長を務めたほか、『マガジン・リテレール』誌をはじめとする文化・学術雑誌に多く寄稿する。エマニュエル・レヴィナス、フランツ・ローゼンツヴァイクなどのユダヤ人哲学者の伝記や概説書など多くの著作がある
斎藤慶典[サイトウヨシミチ]
慶應義塾大学文学部教授。1957年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(哲学)。専門は現象学、西洋近現代哲学
渡名喜庸哲[トナキヨウテツ]
慶應義塾大学商学部専任講師。1980年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。パリ第7大学社会科学部博士課程修了。博士(政治哲学)。専門はフランス哲学、社会思想史
小手川正二郎[コテガワショウジロウ]
國學院大學文学部哲学科助教。1983年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(哲学)。専門は現象学、フランス哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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