現代の事例から学ぶサイエンスコミュニケーション―科学技術と社会とのかかわり、その課題とジレンマ

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現代の事例から学ぶサイエンスコミュニケーション―科学技術と社会とのかかわり、その課題とジレンマ

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  • サイズ A5判/ページ数 331p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784766422030
  • NDC分類 404
  • Cコード C3040

出版社内容情報

本書はサイエンスコミュニケーションを現代の事例から学ぶ教科書で、様々なテーマを取り上げ、その成功や失敗の原因などを分析する。

▼豊富な事例から学ぶ “実践的” 教科書

 いまや科学研究は学際融合して進み、関連する技術の成果は生活の中に浸み込み、社会のあるゆる場面に科学と技術が存在する。それに伴い、サイエンスコミュニケーションは社会のさまざまな領域に浸透し、それぞれの領域で具体的な課題を伴って顕在化してきている。
 本書は、科学技術と社会とのあいだのさまざまなコミュニケーションを現代の実例を通して学ぶ、サイエンスコミュニケーションの教科書である。テーマとして、学術研究、公共政策、科学教育、倫理、リスク、気候変動、公衆衛生、宗教などを取り上げ、全17章の中でメディア、公聴会、講演会、授業、博物館、ウェブなどの多様な場面におけるコミュニケーションの成功または失敗の事例を紹介する。各章においては、より深く学びたい人のために豊富な文献に加えて練習問題や研究課題を設けている。
 サイエンスコミュニケーションの多様性に悩み、その試行錯誤を行っているサイエンスコミュニケーター、研究者、学芸員、教員、リサーチアドミニストレーター(URA)、ジャーナリスト、広報担当者、さらにはサイエンスコミュニケーションの研究を志向している研究者、学生、教育者にとって、本書は必携の一冊となるであろう。

はじめに
序文
訳者まえがき
日本語版への序文

<b>【第?T部 サイエンスコミュニケーションのモデル</b>
 <b>―― 理論から実践へ ――】</b>

<b>第1章 サイエンスコミュニケーションの「デザインアプローチ」にむけて</b>
小川正賢〔工藤 充 訳〕
 1.1 はじめに
 1.2 サイエンスコミュニケーションという場を理解するための目下の
 取り組み
 1.3 省察:サイエンスコミュニケーションの本質について
 1.4 新しい枠組み:政策としてのサイエンスコミュニケーション
 1.5 本枠組みから生じる問題
  1.5.1 推進主体の価値指向
  1.5.2 「科学リテラシー」とは何を指しているか
  1.5.3 介入の対象者
  1.5.4 介入をデザインする:欠けているピースを埋める
 1.6 公共政策領域への移行:コーダ(CODA)

<b>第2章 科学との対話</b>
―― サイエンスコミュニケーションのモデル ――
スーザン・ストックルマイヤー〔常見俊直 訳〕
 2.1 はじめに
 2.2 サイエンスコミュニケーションのモデル
 2.3 厄介な問題
 2.4 モデル構築
  2.4.1 誰がサイエンスコミュニケーションを行なうのか
  2.4.2 サイエンスコミュニケーションの成果
  2.4.3 3次元空間
 2.5 モデルの使い方:コミュニケーションにおける課題の解決方法
 2.6 おわりに

<b>【第?U部 科学のコミュニケーションにおける挑戦】</b>

<b>第3章 科学者による市民との対話</b>
スゼット・D・サール〔加納 圭 訳〕
 3.1 レトリック
 3.2 責 任
 3.3 ルール
 3.4 リスク
 3.5 制 約
 3.6 現実には
 3.7 恩 恵
 3.8 改善策

<b>第4章 公共政策における科学技術の役割</b>
―― 知識は何のために ――
ウィル・J・グラント〔仲矢史雄 訳〕
 4.1 はじめに
 4.2 政策立案とは何か
 4.3 有益な情報とは:科学と政策のギャップ
  4.3.1 時間枠
  4.3.2 言 語
  4.3.3 規 模
  4.3.4 証 拠
  4.3.5 適応(オリエンテーション):抽象化された世界観,位置づ
  けられた世界観
 4.4 解決策:ギャップを埋める
  4.4.1 ギャップを埋める科学者
  4.4.2 政策立案者の科学の活用
  4.4.3 科学と政策のあいだで

<b>第5章 科学技術に反対する市民とともに</b>
リンディ・A・オルティア〔高梨直紘 訳〕
 5.1 はじめに
 5.2 科学への非難と擁護:私たちは同じことについて語っているのだ
 ろうか
 5.3 科学技術のデメリットと脅威
  5.3.1 例1:ろう者コミュニティと人工内耳
  5.3.2 例2:原子力,原子力災害,気候変動
  5.3.3 例3:動物の同性愛行動と同性愛差別の科学
 5.4 政策決定に人々を巻き込むことの重要性
 5.5 科学に敵意をもった人々との対話を改善できた成功例
  5.5.1 最初から人々を巻き込む
  5.5.2 科学の透明性
  5.5.3 長期間にわたる,人々を巻き込んだ対話

<b>【第?V部 サイエンスコミュニケーションの主要テーマ】</b>

<b>第6章 リスクの意味をめぐるコミュニケーション</b>
クレイグ・トロンボ〔田中幹人 訳〕
 6.1 はじめに
 6.2 リスク知覚の展望
 6.3 楽観バイアス
 6.4 重要要素のレビュー
 6.5 リスク情報をコミュニケーションするために
 6.6 リスクコミュニケーションの処方箋
 6.7 おわりに

<b>第7章 サイエンスコミュニケーションにおける定量リテラシー</b>
モーリス・M・W・チェン、カーロック・ウォン、アーサー・M・S・リー、イダア・チーモ〔常見俊直 訳〕
 7.1 数学的素養のアイデアと定量リテラシー
 7.2 定量リテラシーを得るための挑戦
  7.2.1 率と数
  7.2.2 不確定性とリスク
  7.2.3 単純な統計グラフの理解
 7.3 サイエンスコミュニケーションを達成する:定量リテラシーの役
 割
  7.3.1 食料への混入(粉ミルクへのメラミン混入)
  7.3.2 ナイチンゲールとデータ表現
  7.3.3 ジョン・スノーとコレラ伝染
 7.4 おわりに

<b>第8章 科学技術における倫理と説明責任</b>
ロッド・ランバーツ〔赤坂亮太 訳〕
 8.1 状況説明
  8.1.1 用語について
 8.2 説明責任,倫理,科学
  8.2.1 是非:倫理的な選択を行なう際の共通の立場
  8.2.2 倫理的相対主義,倫理的主観主義,利己主義
 8.3 何に,あるいは誰に,科学者は責任を有するか
  8.3.1 情報提供,警告,あるいは社会貢献
  8.3.2 政策と政治
  8.3.3 説得,市民参加計画,フレーミング
  8.3.4 開放性と共有
 8.4 科学の公共的側面
 8.5 倫理,説明責任,科学,そしてコミュニケーション

<b>第9章 信念と証拠の価値</b>
マイケル・J・リース〔北原和夫 訳〕
 9.1 背 景
 9.2 宗教にとってまた科学にとっての信念の重要性
 9.3 進化に関する科学的合意
 9.4 進化論を拒絶すること
 9.5 BSEとGMOの教訓からサイエンスコミュニケーターはどのように
 応答すべきか
 9.6 学校の理科教室で進化を伝えること
 9.7 科学博物館において進化を伝えること
 9.8 宗教的な状況や宗教教育の授業のなかで進化を伝えること
 9.9 まとめ

<b>【第?W部 インフォーマル学習】</b>

<b>第10章 サイエンスコミュニケーションにおける学びを助ける</b>
ジョン・K・ギルバート〔都築章子 訳〕
 10.1 科学技術の重要性
 10.2 科学について学ぶことが多くの人に「難しい」と思われている
 のはなぜか
 10.3 より学びやすくする
  10.3.1 なじみのある重要な状況を取り上げる
  10.3.2 用いる言語を意味あるものにする
  10.3.3 考えをわかりやすく可視化する
  10.3.4 言語モードを活用する
  10.3.5 具象/実体モードを活用する
  10.3.6 視覚モードを活用する
  10.3.7 身振りを活用する
  10.3.8 記号モードを活用する
  10.3.9 説明の明確性
 10.4 サイエンスコミュニケーションが効果的であったかどうかをど
 のようにして判断するか

<b>第11章 サイエンスコミュニケーションと科学教育</b>
ショーン・ペレラ、スーザン・ストックルマイヤー〔都築章子 訳〕
 11.1 はじめに
 11.2 1980年代,1990年代のサイエンスコミュニケーションと科学
 教育
 11.3 今日のサイエンスコミュニケーションと科学教育:変革の時
 11.4 探究を基本とする教授法
 11.5 変革の実行にまつわる問題
 11.6 教員研修プログラム
 11.7 効果的なサイエンスコミュニケーションの原理に基づいた教員
 研修の枠組み
 11.8 まとめ

<b>第12章 科学系博物館における科学技術コミュニケーションの実践</b>
レオニー・J・レニー〔渡辺千秋 訳〕
 12.1 はじめに
 12.2 意図に関する考察
 12.3 科学系博物館:科学館におけるサイエンスコミュニケーション
 12.4 利用者と展示物間の相互作用とサイエンスコミュニケーション
 12.5 博物館訪問の学習成果に関する研究
 12.6 科学館と科学系博物館における研究事例
  12.6.1 科学の本質とサイエンスコミュニケーションに関する利用
  者の考え
  12.6.2 Body Worlds and the Story of the Heart展に対する利用
  者の反応
 12.7 考察

<b>【第?X部 科学と社会のあいだの現代的課題でのコミュニケーション】</b>

<b>第13章 地球規模の気候変動を伝える</b>
―― 論点とジレンマ ――
ジャスティン・ディロン、マリー・ホブソン〔西森年寿 訳〕
 13.1 はじめに
 13.2 気候変動科学と専門用語
 13.3 一般の人々は何を知り,信じているのか
 13.4 大気科学:論争と混乱の源
 13.5 一般の人々は何を,そして誰を信じているのか
 13.6 信頼についての論点
 13.7 一般の人々の信頼の水準
 13.8 気候変動についての教師の見方
 13.9 態度と行動を変える
 13.10 気候変動の伝達の障壁
 13.11 障壁を乗り越えるために
 13.12 まとめ

<b>第14章 危機的状況下におけるサイエンスコミュニケーション</b>
―― 重症急性呼吸器症候群(SARS)の事例から ――
イウン・チュン・リー〔標葉隆馬 訳〕
 14.1 はじめに
 14.2 科学とサイエンスコミュニケーションの役割
  14.2.1 レベル1:病気を理解し治療するためのサイエンスコミュニ
  ケーション
  14.2.2 科学コミュニティ内部におけるコミュニケーションへの影
  響
  14.2.3 レベル2:政策決定のためのサイエンスコミュニケーション
  14.2.4 レベル3:科学と市民活動
 14.3 世界保健機関(WHO)の役割
 14.4 情報通信技術(ICT)のインパクトとマスメディア
 14.5 得られた教訓と今後の課題

<b>第15章 サスティナビリティのためのコミュニケーションの挑戦</b>
ジュリア・B・コベット〔東島 仁 訳〕
 15.1 はじめに
 15.2 サスティナビリティの用例と修辞的な用法
 15.3 サスティナビリティを実践する
 15.4 高等教育におけるサスティナビリティ
 15.5 サスティナビリティ・サイエンス
 15.6 サスティナビリティに向けたコミュニケーションの挑戦

<b>第16章 21世紀における地域固有の知識体系の価値</b>
ヨナ・セレティ〔吉田実久 訳〕
 16.1 はじめに
 16.2 地域固有の知識体系の定義
  16.2.1 なぜ地域固有の知識体系を学ぶのか
 16.3 IKSの認識論とは何か
  16.3.1 IKS認識論の構成要素
 16.4 西洋近代科学とその批評
 16.5 IKSと民主主義政治の探求
 16.6 科学知識体系を豊かにする

<b>第17章 サイエンスコミュニケーション</b>
―― 人類の帰結 ――
クリス・ブライアント〔川本思心 訳〕
 17.1 はじめに
 17.2 創発現象
 17.3 意識のいくつかの特質
 17.4 信念体系とサイエンスコミュニケーション
 17.5 サイエンスコミュニケーション:成功か失敗か
 17.6 サイエンスコミュニケーションの新たな問題
 17.7 サイエンスコミュニケーションとインターネット
 17.8 まとめ

【付録】
1 さらなる探究に向けて
2 著者紹介
3 訳者紹介
4 訳語一覧

索引

【著者紹介】
ジョン・K・ギルバート
レディンレディング大学名誉教授,キングス・カレッジ・ロンドン客員教授。国際科学教育誌 <i>International Journal of Science Education</i> (IJSE)パート A 編集長および(スーザン・ストックルマイヤー氏とともに)IJSE パート B “<i>Communication and Public Engagement</i>” の共同編集者。化学の専門知識を背景に,概念発達,モデルとモデル化,可視化など,科学の学習に関するあらゆるテーマについて研究を進めてきた。最近,これらの研究領域と,すべての人々のためのインフォーマル教育を関連づけはじめたところである。
グ大学名誉教授,キングス・カレッジ・ロンドン客員教授。

内容説明

科学技術と社会とのあいだのさまざまなコミュニケーションを現代の実例を通して学ぶ、サイエンスコミュニケーションの教科書。テーマとして、学術研究、公共政策、科学教育、倫理、リスク、気候変動、公衆衛生、宗教などを取り上げ、全17章の中でメディア、公聴会、講演会、授業、博物館、ウェブなどの多様な場面におけるコミュニケーションの成功または失敗の事例を紹介する。各章においては、豊富な文献に加えて練習問題や研究課題を設けている。

目次

第1部 サイエンスコミュニケーションのモデル―理論から実践へ(サイエンスコミュニケーションの「デザインアプローチ」にむけて;科学との対話―サイエンスコミュニケーションのモデル)
第2部 科学のコミュニケーションにおける挑戦(科学者による市民との対話;公共政策における科学技術の役割―知識は何のために;科学技術に反対する市民とともに)
第3部 サイエンスコミュニケーションの主要テーマ(リスクの意味をめぐるコミュニケーション;サイエンスコミュニケーションにおける定量リテラシー;科学技術における倫理と説明責任;信念と証拠の価値)
第4部 インフォーマル学習(サイエンスコミュニケーションにおける学びを助ける;サイエンスコミュニケーションと科学教育;科学系博物館における科学技術コミュニケーションの実践)
第5部 科学と社会のあいだの現代的課題でのコミュニケーション(地球規模の気候変動を伝える―論点とジレンマ;危機的状況下におけるサイエンスコミュニケーション―重症急性呼吸器症候群(SARS)の事例から
サスティナビリティのためのコミュニケーションの挑戦
21世紀における地域固有の知識体系の価値
サイエンスコミュニケーション―人類の帰結)

著者等紹介

ギルバート,ジョン・K.[ギルバート,ジョンK.] [Gilbert,John K.]
レディング大学名誉教授、キングス・カレッジ・ロンドン客員教授

ストックルマイヤー,スーザン[ストックルマイヤー,スーザン] [Stocklmayer,Susan]
または、スー・ストックルマイヤー。オーストラリア国立大学科学意識向上センター(CPAS)所長、サイエンスコミュニケーション学教授。科学と公衆のインタフェースでの科学の学び、ジェンダー、多文化に関する問題をおもな研究テーマとしている。大学のアウトリーチ活動の一環として、世界の五大陸すべてにおいて、サイエンスショー、講義、ワークショップを行なっている。国際科学教育誌International Journal of Science Education(IJSE)パートB“Communication and Public Engagement”の共同編集長

小川義和[オガワヨシカズ]
国立科学博物館学習企画調整課長、筑波大学客員教授。博士(教育学)。専門はサイエンスコミュニケーション、科学教育、博物館教育。日本サイエンスコミュニケーション協会理事、日本科学教育学会編集委員、日本ミュージアムマネージメント学会理事、日本博物館協会編集委員

加納圭[カノウケイ]
滋賀大学教育学部理科教育講座科学コミュニケーション研究室准教授、京都大学物質‐細胞統合システム拠点(WPI‐iCeMS)科学コミュニケーショングループ特任准教授。博士(生命科学)。専門は科学コミュニケーション論、政策のための科学。一般社団法人社会対話技術研究所代表理事、科学コミュニケーション研究会発起人

常見俊直[ツネミトシナオ]
京都大学大学院理学研究科社会交流室講師、京都大学学際融合教育研究推進センター高大接続科学教育ユニット副ユニット長。博士(理学)。専門は「理学と社会交流」、原子核・素粒子物理学。特定非営利活動法人花山星空ネットワーク理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Moloko

2
科学技術コミュニケーションといってもそれは大衆に科学知識を注入するのではなく、科学ではどのような理論や知見が固められている、またはこれについて議論が分かれており、それはどういう根拠かという知識を形成し、科学者も自分達の研究が社会にどう影響を与えるかを知り、社会の問題について科学的に助言して意思決定に関わり、知識の伝達以上に科学的に考えるとはどういうことかをトレーニングし、学校教育でどう科学を教えていくかなどの沢山の意義がある。かなり網羅的で色んな人が書いていて情報量はかなり多い2018/02/23

もふ子

0
★★☆☆☆科学コミュニケーターという仕事に興味があるので、一読。面白そうな仕事だなーっと思ったけど、政策のために国民の科学への理解を促す、とか、社会問題に関心をもってもらう、とか思ってたより役割が深いものであることを学んだ。ただ、コミュニケーションを謳う本なのに(翻訳本だから仕方ないかもだけど)読みづらかったかも(ーー;)隅々読むの辛かったので斜め読みしてしまった(ーー;)2017/05/17

たみす

0
当たり前のことを確認するための本。科学への変な見方はだいたいどんな国でもいっしょ。2015/09/03

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