出版社内容情報
核兵器拡散や原子力発電所の増加など、アジア諸国における「核」の利用を「フクシマ」の教訓や影響という視点から多角的に考察する。
▼「平和利用」と「軍事利用」の線引きは可能なのか?
▼世界で唯一の被爆国を襲った「フクシマ」は、いまわれわれに「核」の意味を再考するよう迫っている。
核兵器の拡散や原子力発電所の建設増加など、アジア諸国における「核」の利用を、「フクシマ」の教訓や影響という視点から多角的に考察するとともに、私たちが今後どのように「核」と向き合うべきかを考える手がかりを提供する。
まえがき アジアの「核」と私たち――フクシマを見つめながら
高橋 伸夫
日本における核の「平和利用」論の展開 布川 弘
はじめに――「フクシマ」から学ぶもの /
1 放射能汚染への関心の低さと核武装の可能性 /
2 「平和利用」論の展開 /
おわりに
韓国から見たフクシマと「核」――震災報道と原発への再認識
福井 讓
はじめに /
1 「フクシマ」はどのように伝えられたか /
2 「フクシマ」はどのように捉えられるようになったか /
3 「フクシマ」がどのような影響を与えたのか /
おわりに――韓国にとって「フクシマ」とは何か
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の「核」をどう考えるか
福原 裕二
はじめに /
1 北朝鮮に対する「理解」 /
2 核兵器開発の背景 /
3 葛藤 /
依存構造の変化 /
4 核兵器開発の焦点 /
5 強盛大国建設と先軍政治路線 /
結びに寄せて
中国の「核」――原爆実験成功と原子力の「平和利用」再考
飯塚 央子
はじめに /
1 核実験成功への道程 /
2 軍事最優先から「軍用保証優先」へ /
3 フクシマからの考察 /
おわりに
原子力大国として台頭する中国――急成長の背景とリスク 堀井 伸浩
はじめに /
1 中国で進むエネルギー構造転換――石炭依存は低下方向へ /
2 中国における原子力導入の背景――市場競争力の向上 /
3 中国における原子力導入推進に関わる政策(福島原発事故以前) /
4 福島原発事故を受けた対応とその評価 /
おわりに――「隣の原子力大国」中国に対し、我が国はどう対応すべき
か
パキスタンにおける核開発の展開と行方――原発事故報道がもたらしたもの 近藤 高史
はじめに /
1 印パ対立と核開発 /
2 1998年核実験の背景 /
3 核実験後のパキスタン /
4 印パ両国の核武装の影響 /
5 「フクシマ」はどう伝えられたか /
おわりに
イラン「核開発」疑惑の背景と展開――冷徹な現実の諸相を見据えて 吉村 慎太郎
はじめに /
1 「核開発」疑惑の諸前提 /
2 「核開発」疑惑をめぐる問題の諸層――交渉から国際的緊張化への
道程 /
3 「フクシマ」後の現段階 / おわりに
アラブの春とイスラエルの核 宇野 昌樹
はじめに――中東とフクシマの接点 /
1 アラブの「春」 /
2 イスラエルの核 /
おわりに――フクシマをいかに教訓化するか
ロシアの原子力産業と核兵器生産技術の遺産 角田 安正
はじめに /
1 国策としての原子力産業の振興 /
2 原子力発電に対する世界的な需要の増大 /
3 供給面におけるロシア原子力産業の強み――核兵器生産技術の遺
産 /
結論に代えて――好調に見えるロシア原子力産業をどのように評価する
か
核兵器と原子力発電の時代を超えて 小沼 通二
はじめに /
1 核兵器と原発の時代 /
2 核兵器と原発の時代を超えて /
おわりに
執筆者紹介
【著者紹介】
高橋 伸夫
慶應義塾大学法学部教授・東アジア研究所所長 現代中国政治史
1960年生まれ、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。法学博士。
主要著作に『党と農民――中国農民革命の再検討』(研文出版、2006年)など。
目次
日本における核の「平和利用」論の展開
韓国から見たフクシマと「核」―震災報道と原発への再認識
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の「核」をどう考えるか
中国の「核」―原爆実験成功と原子力の「平和利用」再考
原子力大国として台頭する中国―急成長の背景とリスク
パキスタンにおける核開発の展開と行方―原発事故報道がもたらしたもの
イラン「核開発」疑惑の背景と展開―冷徹な現実の諸相を見据えて
アラブの春とイスラエルの核
ロシアの原子力産業と核兵器生産技術の遺産
核兵器と原子力発電の時代を超えて
著者等紹介
高橋伸夫[タカハシノブオ]
慶應義塾大学法学部教授・東アジア研究所所長。現代中国政治史。1960年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。法学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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