内容説明
考古学の成立以前、人々は遺跡や遺物をどのように認識していたのか。文献史料に隠された考古学資料を探し出し、日本考古学史に新たな視角を提示する。伝説・伝承から考古学を読み解く。
目次
考古学研究の新視点
第1部 わが国における遺跡・遺物認識の系譜(先史時代;古代;古代末~中世;近世)
第2部 遺跡・遺物の諸相(伝説に関わる遺跡・遺物;遺跡・遺物利用のポリティックス)
遺跡・遺物認識論から遺跡・遺物の社会史へ
著者等紹介
桜井準也[サクライジュンヤ]
1958年新潟県生まれ。1988年慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。慶應義塾大学文学部助教授を経て、2007年より尚美学園大学総合政策学部教授。博士(史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mentyu
5
考古学が西洋から輸入される以前の日本において、人々が考古資料をどのように認識していたのかを総合的にまとめている。先史時代の遺構における前代遺物の取り扱いに始まり、明治40年代に発生した横穴墓の流行神である「お穴様」まで取り上げる事象は幅広い。特に興味深いのは、中近世の塚に数例あるという「疑似横穴式石室」の話だった。古墳の横穴式石室を模造した塚を作り、中に地蔵や石仏を祀ったという。2023/02/02
onepei
0
気になっていた視点でまとめられていて満足。紹介している遺物の事例が古墳時代で終わってしまっているのが残念。2011/07/27
tnk
0
明治時代、京急の工事中に見つかった鶴見の横穴墓がなぜか信仰を呼び起こし、一時的に参詣者が殺到して観光地として栄えた「お穴様」騒動に触れる。京急(当時京浜電鉄)の関係者が扇動したと言われている近世と近代の端境期らしい事件2023/05/17