内容説明
判然としないその姿ゆえに、哲学史の表舞台に立つことがなかった「個」。アリストテレスからアウグスティヌス、トマス・アクィナス、エックハルト、スコトゥス、ライプニッツ、レシニェフスキまで。それぞれの思想に8人の専門家が光をあて、「個」の歴史を浮かび上がらせるわが国で初めての試み。
目次
1 アリストテレスにおける個の認識
2 アウグスティヌスにおける個体の可変性についての理解―無形質料の解釈を中心に
3 個の概念に関するトマス説
4 ドゥンス・スコトゥスにおける個の問題
5 エックハルトにおける「個」の概念―「神の摂理」との関連に鑑みて
6 個体と世界―ライプニッツから
7 ライプニッツにとって個とは何であるか―モナドロジーを中心に
8 論理的存在論について
9 三段論法における単称命題の特殊性に関するライプニッツの要請について
付録 ライプニッツ『モナドロジー』(全訳)
著者等紹介
中川純男[ナカガワスミオ]
1948年、広島県生まれ。1976年、京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。1993年、慶應義塾大学文学部教授。2002年、慶應義塾大学言語文化研究所所長に就任。同年、『存在と知―アウグスティヌス研究』(創文社、2000年)が慶應義塾大学「義塾賞」を受賞。2008年、『哲学の歴史』(編著、中央公論新社)、第62回毎日出版文化賞特別賞を受賞。2009年4月、慶應義塾大学文学部長に就任。2010年4月9日逝去(享年61歳)
田子山和歌子[タゴヤマワカコ]
1973年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学研究科後期博士課程を経て、現在、慶應義塾大学文学部非常勤講師。専門:17世紀ヨーロッパ思想。ライプニッツの形而上学、特に個の問題、神の存在論証に関心を持ち、伝統的なスコラ哲学および、デカルト、アルノー、マルブランシュといった17世紀の同時代人との比較を研究の軸にしている
金子善彦[カネコヨシヒコ]
1964年、山形県生まれ。慶應義塾大学文学研究科後期博士課程、南山大学助教授を経て、現在、首都大学東京人文・社会系准教授。専門:西洋古代哲学。現在は主に、アリストテレスの自然概念がもつ意義に着目しながら、テキストの読み直しを進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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