出版社内容情報
EUにおける政策形成という観点から、貿易・環境・安全保障など各分野における課題と今後の展望を探り、EUがどのようなガヴァナンス(統治)をめざしているのか、またそれがアジア地域共同体のモデルとなりうるのかの考察をおこなった一冊。EU関連書では、これまで統合の過程・機構の分析および、加盟国内外の政治的考察が中心であったが、本書は、今日的に注目される分野別の具体的な政策過程(ロビー活動含む)に焦点を当てているという点で、広い読者に参考となる一冊である。
内容説明
EUは拡大に対応するための基本条約改正に合意しても、各国のレベルでは市民からの同意に至らないという危機的状況に直面している。しかし、それにもかかわらず、今後もEUは存続するということは明白である。それはなぜだろうか。その疑問を解明する一助として、本書は、EUが内部的にどのように「統治」され、また、貿易・環境・安全保障といった重要分野でどのような政策を形成しつつ、グローバル・ガヴァナンスをいかに主導しようとしているのかについて検討し、展望するものである。
目次
第1部 EUガヴァナンスの課題(EUにおける市民社会概念とガヴァナンスの交差―市民社会対話は何をもたらしたか;EUの多言語主義と言語教育政策)
第2部 EUの通商政策とガヴァナンス(WTO法とEU法の比較検討―比例性原則の与える示唆;「超国家」と「政府間」の共存―EUの共通通商政策の現状と課題)
第3部 EUの環境政策とガヴァナンス(EUの環境統合―開発協力政策への配慮を事例として;日本企業およびEUの関係の深化―環境リサイクル指令ロビイングを事例として)
第4部 EUの安全保障政策とガヴァナンス(EU共通安全保障・防衛政策(CSDP)の現状と課題―2馬力のEUへ
いわゆる「欧州連合(EU)部隊」への国際人道法の適用性―現在および将来における法的課題
コソヴォ独立と国連・EU―介入による国家創設?)
第5部 EUガヴァナンスの対外的可能性(東アジアのリージョナリズムの軌跡と今後―欧州統合からの示唆)
著者等紹介
田中俊郎[タナカトシロウ]
慶應義塾大学法学部教授、ジャン・モネ・チェア、EUスタディーズ・インスティチュート(EUSI)所長。1975年、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学
庄司克宏[ショウジカツヒロ]
慶應義塾大学大学院法務研究科教授、ジャン・モネ・チェア、慶應ジャン・モネEU研究センター所長。1990年、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学
浅見政江[アサミマサエ]
東京国際大学国際関係学部講師、慶應ジャン・モネEU研究センター上級研究員。1997年、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メルセ・ひすい