内容説明
アフリカ大陸に暮らす人びとは、近隣の諸社会との関係性のなかで自らの世界を構築してきた。海洋世界の島々を結ぶネットワークや、砂漠のオアシスを結ぶネットワークとはまた異なる世界がここにみられる。民族は、自律的な単位として存在しているのではない以上、近隣社会との関係性を通して理解していくことが必要である。これまで、アフリカ社会の研究では、民族を一つの単位としたものが大半を占めてきた。しかし、現実には、タイタ人とパレ人は山地農耕民として共通性の高い世界観を有する社会を築いてきたのであり、これらの社会が、サバンナ帯に暮らす牧畜民マサイなどの社会とは異なる一つの地域単位を形成していると理解することができる。そうした地域研究の新たな地平が、いま求められている。
目次
課題と方法
第1部 タイタ農耕民の世界(タイタの生態系と民族;タイタの社会構成;タイタの儀礼と世界観)
第2部 パレ農耕民の世界(パレの生態系と民族;パレの社会構成;パレの儀礼と世界観)
第3部 東アフリカ農耕民社会における社会変化の諸相と農耕民の対応(社会的対応―マイグレイションと多民族共生社会;経済的対応―農牧システムと定期市;宗教的対応―社会変化と宗教;文化的対応―儀礼と空間認識 ほか)
著者等紹介
坂本邦彦[サカモトクニヒコ]
1953年東京生まれ。’78年慶応義塾大学法学部政治学科卒業、’87年同大学大学院社会学研究科社会学専攻博士課程単位取得満期退学。そのこ間、ケニア共和国のスワヒリ語学院、ナイロビ大学アフリカ研究所に留学。’89年尚美学園短期大学一般教育部専任講師、’92年同助教授を経て、2000年尚美学園大学総合政策学部教授。’99年社会学博士(慶応義塾大学)。’79年以来、ケニア共和国、タンザニア共和国で通算5年間に及ぶ調査研究をおこなう。共著に「アフリカ その政治と文化」(’93年)「民俗宗教の地平」(’99年)などがある
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