内容説明
ファンタジックで甘美なおとぎ話ととらえられがちなメルヘン―。その本当の姿とはどのようなものなのだろうか。著者はこの言葉の誕生の地であるドイツ語圏の文学の歴史にそって、メルヘンの本質を丁寧に探っていく。古い民間メルヘンから現代の作家の作品に至るまで、脈々と流れる確かな伝統、文学に限らず、舞台や音楽の世界にまで広がる自由な形式、虚構の中に鋭く現実を映し出す見事な技法―。ドイツ・メルヘンの幅広い領域と奥深い魅力へいざなう書。
目次
第1章 メルヘンとは何か
第2章 合理主義とファンタジー
第3章 道徳的教訓とたわむれ
第4章 世界観になったメルヘン
第5章 現実とのかかわり
第6章 メルヘン・ア・ラ・グリム(グリム風のメルヘン)
第7章 絶望と風刺と虚無
第8章 劇場の舞台の上で
第9章 裏返されたメルヘン
第10章 二十世紀の創作メルヘン
第11章 現代のドイツ・メルヘン
第12章 ドイツ・メルヘンの特性