内容説明
本書は国際法事例研究会の4冊目の研究成果である。この研究会は、発足以来、広範かつ体系的に日本の国際法上の実践を調査・研究することによって、わが国における国際法研究に一層の実証的基盤を提供しようと努めてきた。本書においても、これまでは条文を中心に理解あるいは論述されがちであった外交・領事関係を、具体的事例を通じてより良く理解されるための素材を提供することを意図している。本書の構成は、外交関係に関するウィーン条約および領事関係に関するウィーン条約の条文によりつつ、外交関係を第2~10章にまとめ、領事関係を第11章におさめた。さらに日本に存在する各種国際機構の地位および特権免除にかかわる問題を第12章におさめた。原則として、外交関係に関するウィーン条約は「外交関係条約」、領事関係に関するウィーン条約は「領事関係条約」、とそれぞれ表記されている。事例は、第二次大戦後のものに限定し、さらに比較的最近のものに重点をおき、現在の状況につながるものを中心に取り上げた。
目次
第1章 外交・領事関係の略史
第2章 外交関係開設と外交使節団の設置
第3章 外交使節団の構成と任務
第4章 外交使節の任務の開始と終了
第5章 外交使節団の公館
第6章 通信の自由と文書の不可侵
第7章 特権免除の人的範囲及び享有期間
第8章 外交官の不可侵と活動の自由
第9章 裁判権免除
第10章 租税免除
第11章 領事関係
第12章 国際機構の地位、特権及び免除