抗議するアートグラフィックス

リッポン，ジョー【著】〈Ｒｉｐｐｏｎ，Ｊｏ〉

グラフィック社（2020/08発売）

• サイズ A4変判／ページ数 176p／高さ 25cm
• 商品コード 9784766134155
• NDC分類 727
• Cコード C0070

内容説明

人権擁護キャンペーンのためにアーティストたちが創作したポスターの数々を収録した本書は、世界で展開されてきた社会的・政治的抗議活動のビジュアル記録だ。２０世紀初頭の女性参政権運動に始まり、１９６０～７０年代の大混乱期から、現代のソーシャル・メディアを駆使したスタイルの活動まで、アムネスティ・インターナショナルのアーカイヴ作品、著名なアーティストたちによる作品、クリエイター集団や活動家たちが突発的にその場で作成したポスターといったアイコン的作品群が人類の抗議の歴史を視覚で伝える。難民危機、気候変動問題、女性の社会進出、核軍縮、性的少数者ＬＧＢＴＱの人権、人種的不正義、戦争がらみの問題、天然資源の問題。世界規模で、あるいは特定の地域で展開された主要なキャンペーンを１００点以上の作品でたどる本書は、疎外された人々の声となり、平和と平等を手にする権利を踏みにじろうとする権力者に立ち向かい、社会に変化をもたらす役割を果たしてきたポスターという媒体に光を当てる。

目次

はじめに：アニッシュ・カプーア
非合法な人間などいない
女性は紅茶のティーバッグのようなもの
もし私の頭に銃弾が撃ち込まれたら
平和を愛する人たちは
何も考えずに権力を重んじることは
憎悪とは、あまりにも大きな負担
地球がひとつではなく、ふたつあるかのように
あとがき：アムネスティ・インターナショナル

著者等紹介

リッポン，ジョー［リッポン，ジョー］ ［Ｒｉｐｐｏｎ，Ｊｏ］
編集者、ライター。音楽やアートに関する書籍を主に手がける。現在、夫と子供たちとロンドンに在住する（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

[ふう]

様々な時代に様々なアーティストが作成した抗議アートのポスターの数々。勉強不足から正直あまりピンとこないのもあったが、とにかく人類の歴史において大切なものは自由と平和と平等なんだと改めて思わされた。世界を変えようとするこれらのプロテストアートはこれからも嫌というほど生み出されていくことだろう。複雑な心境になるなあ。

2020/11/15

[maimai]

人類の歴史は戦争と差別の闘いの歴史、そんな歴史の中でアーティスト達が描いてきた作品が連なっています。自分の渦巻く感情を芸術の域にまで昇華させたアーティストの技量は凄いとしかいいようがありません。その中でも人種差別に対する表現や描写には多数の作品があり差別に対する壮絶さが伝わってきます。アートの世界では言葉がなくても表現技法により自分の思想をダイレクトに伝えられる点においてグローバルなんだなと感じました。これから先も画家が生み出していくだろう絵画の歴史の一翼を担えたらと思いました。

2020/10/29

[たろーたん]

印象に残ったのは、ナポレオンが松葉づえをついている、マヤ・アンジェロウ『ナポレオン法典の廃止』。女性の口にグーグル検索と差別的なサジェストが出てくるメマク・オグルヴィ＆メイザー・ドバイ国連女性期間『女性がすべきことは、』。二頭の鳥が虹色の羽を持った片方を食っているペッカ・ピッポ『チェチェン共和国』。軍人が正義の女神と自由の女神を犯してるフランク・チェチョルカ『すべての人に自由と正義を。』。

2023/06/20

[葛]

2020年8月25日初版第1刷発行　著者：ジョー・リッポン　発行者：長瀬聡　発行所：株式会社グラフィック社　印刷・製本：図書印刷株式会社　制作スタッフ　翻訳：石田亜矢子　組版・カバーデザイン：小柳英隆(雷伝舎) 制作・進行：本木貴子(グラフィック社) 定価：本体3500円(税別)

2022/05/17

[🦀]

コンペに使いたく読了。阻害された人々が作りあげたプロテストアートの歴史。グラフィックや言葉が見るものに真実を突きつける。権利とは侵されやすいもの。それを創造的に、権力者たちを風刺する作成者たちの熱量には脱帽する。私たちは、本書を通じて適切な「怒り方」というものを身につけた方が良いのではないか。怒りというのは世を変える。まずは一人の人間として声を挙げること。自分で創作をしろというわけではない。誰かの声に連帯を示すこと。とにかく、見て見ぬふりはもうやめよう。私は、そう思った。

2024/12/07