内容説明
世界最大の粒子加速器「ザ・ループ」は1994年に閉鎖。その年のクリスマス、ループ近隣は原因不明の大規模な浸水被害に見舞われる。ある先端的な技術開発の失敗によって、未知の生命体を含む宇宙の水がループ跡に流れ込んだのだと噂された。テレビ、車、ロボットなどに寄生した謎の生物や、ロシアから「虐殺」を逃れてきたAIロボットたちが徘徊するストックホルム近郊で、主人公は青春期を迎える。著者が育った90年代スウェーデンの郊外風景とポップカルチャーに、全体像のつかめない不気味さをまとったSF的想像力を接続して描かれる、更新された過去。大ヒット『エレクトリック・ステイト』へつながるアイデアを含み、著者の原点『ザ・ループ』の続編として位置する最重要作。
著者等紹介
ストーレンハーグ,シモン[ストーレンハーグ,シモン] [St〓lenhag,Simon]
1984年生まれ。2013年に最初の作品がインターネットでシェアされる。スウェーデンの新鋭アーティスト。2015年にクラウドファンディング「kickstarter」で自著のキャンペーンを立ち上げた
山形浩生[ヤマガタヒロオ]
東京大学都市工学科修士課程およびMIT不動産センター修士課程修了。開発援助関連調査のかたわら、小説、経済、建築、ネット文化など広範な分野での翻訳および雑文書きに手を染める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロア
20
とにかく絵がすごい!かっこいい!例えると、アンドリュー・ワイエスin北欧+朽ちたロボットと廃墟、金属生物。のような感じ(*´Д`*)2020/02/19
やんも
12
1990年代頭、時代のあだ花のように建設された超巨大粒子加速器ザ・ループは廃止された。しかし、ザ・ループからあふれ出した水は、著者たち住民の避難を余儀なくさせ、さらに不気味な有機体すらその中に住まわせるようになった。表紙に描かれたアンドロイドは誰か、過去からやって来たという恐竜たちはどうしたのか? 放棄されたザ・ループは、現在より未来と、そして過去を融合させた奇妙な世界を世紀末に産みだしたようだ。当時中高生だったわたしは、北欧に、購読していた科学雑誌の記事より進んだ世界があるなぞ、知る由もなかったさ。2020/04/06
フロム
5
石田徹也やエドワード•ホッパー調で描かれた90年代の風景に突如組み込まれた100年後のガジェット群。手垢の付いたアイデアだが斬新な装いで新しい物語に。しかも、どこにでもありそうな場所ではなくてちゃんと北欧の特色が出ている所が凄い。ブレードランナーはくすんだ近未来を描き出し、スチームパンクと言うジャンルを作り出したが。本作も新しいジャンルになりそうな創造性があると思う。ただしいきなり本作を読んだため個人的なストーリーや世界観の理解は今一つ。2020/09/26
えふのらん
3
ロシアからの流れ者たちとテディベアが好き。エスニックな服を身にまとった機械はそれだけでもインパクトがあるけど、脅される/壊されることで逆説的に人間性が明らかになっている。現実のチェチェンがどうのと今更関連付ける気はないが、底流にあるアウトサイダーの嘆きに感情を揺さぶられた。ループと同じくティーンエイジャーの第二反抗期も引き継がれているが、こちらはピンとこなかった。まぁ十代なんてとうの昔の事だし、単純に対象年齢から外れているというだけのことなのだけれど。2023/02/28
渡邊利道
3
『ループ』続編。廃棄されたループのs地下には何かがあるようで、噂が絶えない不穏さと、どんどん荒廃していく町で早熟な小学生たちがうろつき回り、時代が知らないとことで大きく変わったことも自分自身の変化もいつのまにかそこにあった、というような物語の断片が、リアルでダークなイラストとともに語られる。2020/12/26