幻想版画―ゴヤからルドンまでの奇怪コレクション

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  • サイズ A4変判/ページ数 191p/高さ 25cm
  • 商品コード 9784766130188
  • NDC分類 732
  • Cコード C0076

内容説明

文学からインスピレーションを得て生まれ、ロマン主義、新ロマン主義、象徴主義とともに成長してきた、「幻想的」で「不気味」、「悪魔的」で「悪夢」のような幻想版画。本書は、フランシスコ・デ・ゴヤにはじまり、ウジェーヌ・ドラクロワ、J.‐J.・グランヴィル、ギュスターヴ・ドレ、ロドルフ・ブレダン、シャルル・メリヨン、オディロン・ルドンにいたるまで、フランス国立図書館所蔵の貴重な名作版画を収録。幻視者たちが目の当たりにした、黒と白の美しき闇黒の世界へといざないます。

目次

幻想版画あるいは19世紀ロマン主義の黒い糸(幻想とロマン主義;版画 幻想のテーマとモチーフの伝達者;白と黒の版画、精神の媒介者)
文学的源泉と大衆的幻想の間で―1830年のロマン主義世代(ドラクロワ、シェークスピア、そしてゲーテ;ヴィクトル・ユゴーのもとで、ルイ・ブーランジェとセレスタン・ナントゥイユ;幻想挿絵本 トニー・ジョアノとJ.‐J.・グランヴィル;大衆版画におけるファンタスマゴリーと悪魔画)
レアリスムを襲う幻想―1860年代の新ロマン主義(レアリスムの申し子を誘惑する幻想 ブラックモンとルグロ;鏡のごとき銅版画 版画家たちの幻影と妄想;現実界の地平に位置する不合理 ロドルフ・ブレダンの憑りつかれた風景;ギュスターヴ・ドレのクレヨン技法 「ロマン主義最後の魔法の杖」)
象徴主義の萌芽と死の幻―世紀末の版画家たち(「夢の中で」 オディロン・ルドンの黒;死の舞踏 死神の回帰;変幻自在の悪魔たち)

著者等紹介

シュール=エルメル,ヴァレリー[シュールエルメル,ヴァレリー] [Sueur‐Hermel,Val´erie]
フランス国立図書館、版画・写真部門主任学芸員。19世紀コレクション責任者。ルーヴル美術学校版画史教授。多くの版画展覧会においてキュレーターを務める

千足伸行[センゾクノブユキ]
1940年、東京生まれ。東京大学文学部卒。東京放送(TBS)を経て国立西洋美術館に勤務。1970‐72年、西ドイツ政府(当時)奨学生として、ミュンヘン大学に留学。1979年、西洋美術館を辞し、成城大学文芸学部に勤務、2011年3月定年退職し、現在同大学名誉教授、広島県立美術館館長

冨田章[トミタアキラ]
1958年、新潟生まれ。慶應義塾大学文学部、成城大学大学院卒。東京ステーションギャラリー館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

96
18世紀から華開く幻視の世界へようこそ。幻想・怪奇小説が好きな人なら一度は見た事はあるだろうレンブラント、デュラー、ドラクロワ、ゴヤ、ルドンだけではなく、ジョアノ、ロップス、グランヴィル、マックス・クリンガー、ドレ、霊媒体験があるヴィクトル・ユゴーまでの意外な画家達も勢揃い。グランヴィルとジョアノによる剽窃問題が霞む程の付喪神的キャラクターと幻視性が凄い。後、「ビュルガーのバラード」や「絞殺者としての死」のアニメーション的表現やブレダンの不穏な寓意、ブラックモンの「カラス」の不気味な大きさに圧倒される。2017/09/23

藤月はな(灯れ松明の火)

58
再読。黒が司る謎めいた美しさ、神秘性、底知れない畏怖を存分に使う事で人々を幻惑させる絵画たち。ドラクロワの描くマクベスは黒目勝ち、若しくは反転眼だ。それは黒で全身を描かれるも目は普通に見える魔女たちと異なる故、マクベスの運命に魅入られた者としての異常性を暗示しているようにならない。また、フェリックス・ブラックモンの「カラス」の構図に改めて肝を潰した。絞首刑所の足場にてこちらを見つめる鴉。そのずんぐりとした体躯は無表情な瞳と無邪気に見える顔つきと相待って異様な怪物に錯覚してしまいそうだ。2022/08/26

鱒子

38
図書館本。奇怪コレクションのサブタイトル通り、おどろおどろしく 幻想的で 不思議な作品ばかり。巻末の用語解説は参考になりますが、イマイチよくわからなかったので、wikiで調べながら読みました。裏表紙のルドン氏の作品からは、伊藤潤二氏の「首吊り気球」を連想しました(^◇^;) p52の版画の原画はヴィクトル・ユゴー。絵も描くんだ!すごい!!(◎_◎;)2017/10/02

活字スキー

19
【黒には敬意を払わねばならない。黒は何者にも汚されることがない】タイトル通り、光と影、白と黒のコントラストが妖しく描き出す幻想版画の名品珍品てんこ盛り。元は2015年にフランスで開催された展示の図録だそうで、『怖い絵展』にも行った自分としては大いに楽しませてもらった。図版だけでなく幻想美術史も読み応えたっぷり。最近は『○○美術館展』が流行りで、その理由も本で読んだけれど、こうしたテーマやモチーフ中心の展示ももっとやってほしい。【黒こそは、美しい色彩よりもずっと、精神に作用するのだ】2020/12/03

blue_elephant

9
ゴヤ、ルドンやドレ、ドラクロワ、ベルナール。お馴染みの幻視者たちによる幻想版画は言わずもがなだけれど。知らない作家たちの作品に出会えたことは、やはり楽しい。 2019/05/12

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