内容説明
昔話は、あたたかい目で人生の本質を語り、「大丈夫だよ」と励ましてくれるのです。国際的な昔話研究者小澤俊夫(91)が、その豊かな世界へ案内します。これから世の中へ出かけて行く子どもたちに、どうぞあなたの声でお話を聴かせてやって下さい。
目次
1の扉 子どもに昔話を
2の扉 昔話と動物
3の扉 昔話が伝えるメッセージ
4の扉 声と言葉
5の扉 語りの秘密
6の扉 暮らしに昔話を
小さなお話集1 日本の昔話
小さなお話集2 グリム童話
昔話の本のご案内
親子鼎談・二人の息子と語る 子どもとことば―小澤俊夫×小澤淳(長男)×小沢健二(次男)
著者等紹介
小澤俊夫[オザワトシオ]
1930年中国長春生まれ。口承文芸学者。小澤昔ばなし研究所所長。筑波大学名誉教授。ドイツ・マールブルク大学客員教授、国際口承文芸学会副会長及び日本口承文芸学会会長を歴任。グリム童話の研究から出発し、マックス・リュティの口承文芸理論を日本に紹介する。その後、昔話全般の研究を進めている。1992年より全国各地で「昔ばなし大学」を開講、昔話の魅力を広く伝える。2007年ドイツ・ヴァルター・カーン財団のヨーロッパ・メルヒェン賞、2011年ドイツ・ヘッセン州文化交流功労賞、2020年日本児童文芸家協会の児童文化功労賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
91
分類388。「現代の語り手になりたい」と私に意識させてくれた小澤俊夫さんの自伝的昔話論。FM福岡でお聞きしていた優しい声が聞こえてくるような語り口で6つの扉を開いてくれる[1.子どもに昔話を]暮らしていく知恵、場面が見える文章、生の声[2.昔話と動物]神話、伝説、昔話、民話、おとぎ話[3.昔話が伝えるメッセージ]若者の成長[4.声と言葉]柳田國男とのエピソード[5.語りの秘密]法則[6.暮らしに昔話を]覚え方の解説▽指揮者の小澤征爾さんが弟で、歌手のオザケンは息子。小さなお話集と、親子鼎談つき2023/01/27
yomineko@ヴィタリにゃん
68
非常に優れた本。小澤征爾様のお兄様、小澤俊夫様著。昔ばなしにかける情熱を感じる。広く読まれる事を前提にした児童文学者の絵本ではなく、近しい人達の肉声による口承伝承の大切さを熱く優しく語っておられる。語り終えれば音楽と同様消えてしまう時間的文芸こそ、本来の昔ばなし。語り手と聞き手の周りには暖炉や囲炉裏があるのは世界中同じ。4人兄弟で若い頃畳で常に一緒にゴロゴロしていたが、三年ねたろうの様な経験をしてこそ将来のためになると仰る。再話という形で描き直しされておられるのは土地言葉を大切にしたいからとも仰る。2024/03/26
なお
41
94歳になられる小澤俊夫さんは、ドイツの昔話であるメルヒェンや日本の昔話の研究者。口承伝承による昔話は、言葉の心地よいリズムや音の響きを味わう物。自然感や人間感が込められたお話は、近しい人の声の温かさと共に子どもの心に残り、人生を歩く支えになるという。昔話やグリム童話の掲載もあり実際に語る事ができるのが良い。息子の淳さんと健二さんとの対談も興味深い。ドイツでの幼かった二人の思い出も交えつつ、文化や精神性の中にことばがあり世代を超えて保っていく物だと話される。英語偏重の風潮と民族性の話にハッとさせられる。 2024/05/10
chiaki
34
幼い子たちに昔話を語ることの必要性と、昔話の持つ力や信頼性が語られ、すごく腑に落ち納得しました。特に『三の扉 昔話が伝えるメッセージ』では三年寝太郎を始め4つの昔話を例に挙げながら、若者の成長を温かく見守る必要性を説いておられ、とても参考に。親子対談『子どもとことば』では、主にバイリンガルの話に。ことばはメロディーであり子どもの耳は音やリズムにとても敏感で順応性がある。だからこそ、子ども時代、耳に心地のいい昔ばなしに多く触れさせてあげたいし、とりわけそれを近しい人の声で語り掛けてあげたいと強く思いました。2022/04/10
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
23
最近素話から遠ざかっていたので、改めて昔話の素晴らしさを確認できました。「耳で聴く」ことの心地よさと、昔話のもつ力が合わさった時に心に響くんですよね。今回図書館から借りましたが、購入予定です。『 団子長者 / 泣き出した閻魔さん / 赤んぼうをさらったかっぱ / ぷっつりちゃらん / いのししうちの名人 / かっぱの恩返し / 帰らん寺 / 尻ばおさえろう / 孝行娘としいの実 / ねずみの恩返し / つる女房 / 蜷(みな)長者 / ケヤキの大木 / 三年寝太郎 』 2022/03/11
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