内容説明
屎尿は、人間の生活に必ずついて回ります。そして、その処分の仕方では、江戸時代のリサイクルシステムは優れていたとの評価は、つとに高いところです。2003年3月に京都で開催されました「世界水フォーラム」では21世紀の水資源が中心課題となっています。生活環境、地球環境を考えますと、屎尿処理を含めた水処理は大きな問題を抱えています。トイレや屎尿、広くいえば下水文化は限りなく生活に密着しすぎているためか、なかなか書き残されることがありません。特に屎尿の行方や処理に世間はますます無関心になっているようです。そこで、本書では、聞き書き、体験記、文学・芸能からの引用、歴史資料の解説および現代語訳、最近の技術動向をわかりやすくまとめました。
目次
プロローグ―屎尿の処分と処理の移り変わり
屎尿汲取り業の一代記
バキュームカーの開発
屎尿積み替えと貨車輸送
海洋投棄とその歩み
日本独自の技術―屎尿消化槽
みやこ肥料―コンポスト化
屎尿汲取りの移り変わり―仙台市から
京都屎尿事情
大正末期の大都市の屎尿停滞―大阪市〔ほか〕