感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
活字の旅遊人
42
マクロな議論に終始しがちな話を、医療現場にしっかり落とし込んで議論している。そのため、大変分かりやすい。「医療従事者のための」とあり、医師に限らず関わる人には是非一読してほしいし、その他の方々にも問題がどこにあるのかを知るために手にしてほしいな、と思った。特にⅡ応用編は良い。現場にいて、これらの問題に日々関わりながら放置していることが恥ずかしい。切実なところとしては、労働(拘束)時間は何とかしてほしいな。まとめが宇沢弘文先生の引用になっているが、良いとこ取りするなよと戒める姿勢も素晴らしい。2022/02/26
macho
12
医療制度の矛盾は医療的最適性と、経営的最適性の乖離で、その点をわかりやすく教えてくれる書籍でした。病院医療におけるアクセス、質、費用はトレードオフの関係にあり、質を担保するため医療のムダを炙り出しています。代表的なムダは、例えば「大型医療機器の数と稼働率、過剰な薬剤使用、医師の不均衡配置、タスクシフティングの少なさ、病院数の多さ、貧困に対する生活保護制度の精度、子ども医療費助成の適応」と多岐にわたり、大変勉強になりました。読み終わった感想としては、「こりゃもう一度読まないといけないや。」ということでした。2024/01/14
Iwata Kentaro
12
非常に面白かった。医療関係者必読の良書。僕は昔から森嶋通夫の大ファンで著書をよく読んでいたが、本書はその文体にとても近く、アカデミックな精緻さに加えてべらんめいな気骨も感じてそれがとてもよい。もちろん、異論もあるけど、それはそれとしてまずは本書を読むのが大事。2021/02/13
Satoshi Hara
4
医療従事者は必読。きちんと参考文献を示しながら、 俯瞰させてくれると同時に鋭く熱く筆者のコメントも差し込んでくる。日本経済の問題、予防政策は医療費を抑制しない、医師の偏在、医療費抑制の方法、最後の宇沢理論などとても勉強になった。これからマルクスの資本論を読もうとしてるのだが、簡単なことをわざわざ難しく書きやがって、のようなツッコミには笑ってしまった2022/06/19
N
0
アメリカ医療費上昇要因、高齢化7%、所得増30%、保険普及10、技術30。高齢で増加するのは、医療費よりも介護費。費用対効果に劣る技術は公的保険外。CT,MRIの総量規制。在院日数と病床減がセットで医療費に奏功。短期で病床埋めると医療費増。地域医療構想は県に期待しすぎ。市販後再評価で適用外すというが、RCTでなくRWDでできるのか?開業前の地方勤務は憲法違反と法制局。開業時に優遇等でのインセンティブで誘導。同じ処方を繰り返すのはPAでもできる?医師の働く地域や診療科への規制少ない。家庭医が一元管理すべき。2025/01/26