出版社内容情報
《内容》 本書は,I部(医の原則),II部(医療における安全性への配慮と危機管理),III部(コミュニケーションとチーム医療,IV部(課題探究・解決と論理的思考)の4部構成である.
モデル・コア・カリキュラムとして7つに分けて提示された「基本事項」「医学一般」「人体各器官の正常構造と機能,病態,診断,治療」,「全身におよぶ生理的変化,病態,診断,治療」「診療の基本」,「医学・医療と社会」「臨床実習」のうちの「基本事項」をガイドラインに沿って標準テキストとしてまとめ、各章の後にセルフチェックのための例題と解説もつけた.
また付録のCD-ROMには約70題のCBT模擬問題を掲載,五肢択一方式、連問形式でCBTの擬似体験もでき,共用試験直前対策としても役立つ.
I部では,医師としての倫理観,求められる医師像いわゆる医療倫理の重要性を学び,II部では,安全で信頼される医療,それに伴う危機管理の方法,対処の仕方について学ぶ.III部では医療現場でのコミュニケーションと患者と医師の信頼関係の重要性,チーム医療の重要性などを学ぶ.そしてIV部ではこれまでの知識伝授の講義による受身の学習ではなく,自分で課題を見つけ自己学習で課題探究,問題解決する技能と知識,解決能力を身に付けることを学ぶ.つまり医師として,人間としての基本的態度と知識を学ぶ書である.
臨床実習前の医学生,歯学部学生,薬学部学生,すでに臨床の現場にて活躍する研修医,指導教官に,そしてCBTに臨む直前の学生にお勧めのテキストである.
《目次》
I. 医の原則
1章 医の倫理と生命倫理
1)医学・医療の歴史的な流れとその意味
2)生と死に関わる倫理的問題
3)医の倫理と生命倫理に関する規範
2章 患者の権利
1)患者の基本的権利
2)患者の自己決定権の意義
3)自己決定ができない患者の対処法
3章 医師の義務と裁量権
1)医師の義務
2)裁量権に関する基本的態度,習慣,考え方と知識
4章 インフォームド・コンセント
1)定義と必要性(大林雅之)
2)「説明と同意」のすすめ方(村上不二夫)
付録資料
例 題
II 医療における安全性への配慮と危機管理
1章 安全性の確保(山内桂子)
1)医療事故の理解
2)医療事故はどのような状況で起こるか
3)ヒューマンファクターの理解
4)組織(集団)の要因
5)個人の事故防止の取り組み
6)事故防止のシステムづくり
7)安全管理の方法
8)安全で納得できる医療のために
2章 危機管理(山内桂子)
1)事故への対応
2)事故から学ぶ
3)医療事故の責任(山内桂子・高橋知子)
例 題
III コミュニケーション技法の基本とチーム医療(伴信太郎)
1章 コミュニケーション
1)コミュニケーションにおける4つの交流
2)コミュニケーションの4つの要素
2章 患者と医師の関係
1)患者と家族の精神的・身体的苦痛に対する配慮
2)患者-医師関係の類型
3)医師として求められる態度の原則
3章 チーム医療
1)チーム医療とその重要性
2)医療チームの構成や各構成員の役割,連携と責任体制
3)パラメディカルとコメディカル
4)保健,医療,福祉と介護チーム連携における医師の役割
5)地域の保健,医療,福祉と介護活動とそのネットワーク
例 題
IV 課題探求・解決能力と論意的思考(植村和正)
1章 課題探求と論理的思考
1)問題指向型システム
2)情報の収集
3)プロブレムの抽出
4)プロブレムの把握(プロブレムリストの作成)
2章 課題解決と論理的思考
1)診断計画を立てる際の主な原則
2)診断的検査の特性
3)患者管理のための検査
4)治療計画の立案
5)患者や家族への説明計画の立案
3章 論理的表現形式
1)医療現場における「表現」の意味合い
2)論理的思考力を養う「表現」
3)診療記録としてのPOS:総合プロブレム方式
4)症例検討会
4章 論理的思考力の訓練の場
1)チュートリアル・システム
2)クリニカル・クラークシップ
例 題