胎児期水頭症 - 診断と治療ガイドライン

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  • サイズ A5判/ページ数 213p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784765311847
  • NDC分類 495.6
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》  水頭症とは,脳室ないしその他の頭蓋内腔(主としてくも膜下腔)に異常に大量髄液が貯留し,これらの腔が拡大した状態をいう.その中で水頭症が胎児期に診断されたものを胎児期水頭症という.
 先天性水頭症が超音波検査により胎児期に診断されるようになって20年以上が経過し,現在では先天性水頭症の約55%は胎内診断されている.日本産婦人科医会のデータでは,先天性水頭症は,1万人出生当たり8.5人(2001年),7.7人(2002年)と決して少なくない疾患であり,1974年頃と比較すると約7~8倍に増えている.
 1966年兵庫県が『不幸な子供を産まない』対策室を設立し,積極的に羊水検査を行い,染色体異常児を早期に診断し生まないことをすすめてきた.これは当然のことながら障害者団体の強い批判にあい,74年には取り下げたが,この頃から出生前診断は常に病気の胎児を排除するためととらえられ,患者さんの団体からは問題にされてきた.それゆえ胎児期水頭症においても診断基準や治療指針についてのガイドラインを作成しようとすることはもとより,議論することすら躊躇してきた歴史がある.
 しかし現実には産科の外来では胎児が元気であることを確かめる目的で超音波検査は日常的に行われており,早期に『脳室拡大』を診断されるようになっている.『見つかってしまった脳室拡大』に対する何らかの手引きがないために,医師の説明で必要以上に打ちのめされたり,わからないと放置されたり,不用意な妊娠中絶を勧められたりということが,日常的にあちこちで起こっている.
20年間の出来る限りのデータと経験とコンセンサスの得られているところと得られていないところを明らかにし,少しでも患児の診断と治療,そして母や家族への援助において手引きになることを目指して作成した.    

《目次》
はじめに
I部 総論
 1 水頭症とは
 2 先天異常の中での胎児期水頭症の占める位置
 3 胎児期水頭症の診断から治療まで
 4 一次病院における胎児脳スクリーニング検査とその対応
 5 二次病院における胎児超音波検査
 6 胎児MRI検査
 7 遺伝学的検査,病原体検査,生化学的検査
 8 胎児期水頭症の診断説明とカウンセリング
 9 出生後の支援
II部 各論
 1 脳室拡大を主な所見とする水頭症
 2 脊髄髄膜瘤
 3 Dandy-Walker 症候群
 4 全前脳胞症
 5 二分頭蓋
 6 胎児頭蓋内出血後水頭症
 7 胎児期くも膜嚢胞
 8 胎児期脳腫瘍
 9 頭蓋縫合早期癒合症
 10 水無脳症
 11 胎児期血管障害
 12 脳梁欠損
III部 資料
 1 全国疫学調査結果
 2 葉酸について
 3 重篤な疾患を持つ新生児の家族と医療スタッフの話し合いのガイドライン
 4 社会福祉支援制度
 5 患者団体
 6 計測値
 7 二次病院リスト