出版社内容情報
ものごとを計算で読み解く!
計算科学とは、数学的モデルとその定量的評価法を構築して今までの難課題を、コンピュータを駆使して解決しようとする新しい学問分野である。
本書は2018年に「産業界の難課題の解決パラダイムを提案する」をキーコンセプトとした理研のシンポジウムを書籍化したものである。専門領域で実際に使われている計算や数式を織り交ぜながら展開するが、学部3年生でも分かるレベルで各分野について具体的に解説する。
データサイエンスやインフォマティクス分野に関心のある読者にも勧めたい書籍である。
目次
第1部 連続体計算科学のフロンティア(顕微鏡の世界から自動車部品の加工性を予測する;ボクセルベースで流体構造の連成シミュレーションを行う ほか)
第2部 量子計算科学のフロンティア(第一原理フェーズフィールド法で材料組織を予測する;電気化学反応をシミュレーションから理解する ほか)
第3部 データサイエンスのフロンティア(データサイエンス時代の科学技術データをどう可視化するか?;高分子計算屋が考えるインフォマティクスとの付き合い方 ほか)
第4部 計測技術のフロンティア(非破壊観察システムをインフラ・ものづくり現場で利用する―理研小型中性子源RANS;光干渉断層計(OCT)を用いた眼底血流計測から分かること)
第5部 圏論とその展開(非自明な現象をいかにして捉え制御するか?―計算科学基盤としての圏論の基礎と応用;圏論の応用を実践的に探求する―機能システムの新たな基盤に向けて)
著者等紹介
中村振一郎[ナカムラシンイチロウ]
1984年Strasbourg大学・フランス国家博士号取得。1984‐1986年分子研・諸熊奎治教授の博士研究員。1986‐2013年三菱化学にて民間企業における計算科学の第一世代として勤務。2009‐2013年東工大・生命理工連携客員教授。2011年から理化学研究所特別招聘研究員
牧野内昭武[マキノウチアキタケ]
1969年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。1969年理化学研究所研究員を経て、1994年主任研究員。2001年VCADシステム研究プログラムディレクター。その間、グルノーブル大学客員教授、パリ13大学・ガリレー大学客員教授、理研ベンチャー(株)先端力学シミュレーション研究所取締役を兼務の後、技術顧問、理化学研究所顧問。2019年7月逝去
安達泰治[アダチタイジ]
1992年大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻修士課程修了。その後、神戸大学工学部助手、同助教授、京都大学大学院工学研究科准教授を経て、2010年から京都大学再生医科学研究所(2016年からウイルス・再生医科学研究所)教授。この間、2006‐2011年理化学研究所チームリーダを兼務。博士(工学、大阪大学、1997年)
杉本学[スギモトマナブ]
1993年京都大学大学院工学研究科合成化学専攻博士後期課程修了。1993‐1996年住友金属工業(株)にて計算物理研究に従事。1996年熊本大学工学部/大学院自然科学研究科講師、2003年同助教授/准教授。現在、熊本大学大学院先端科学研究部准教授。熊本大では計算化学(特に電子状態計算)、ケモインフォマティクス、および両者を融合した電子状態インフォマティクスによる研究を実施している。博士(工学、京都大学、1996年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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