内容説明
21世紀に入って、ハリウッド映画の男性の描き方が変わってきました。これまでハリウッドはゲイ、同性愛に対して否定的でしたが、それが逆転してきたのです。「ブロークバック・マウンテン」がアカデミー監督賞を受賞したことでもそれは明らかです。そうしたハリウッドの意識の変化と、現実社会の男性性の変化をリンクさせ、21世紀がいかにゲイ的な社会になってきているかをハリウッド映画を通して検証していきます。
目次
第1章 西部劇をゲイ化した「ブロークバック・マウンテン」
第2章 「華麗なるギャツビー」とブロマンス
第3章 21世紀的男のライフスタイル
第4章 多様化する男性性
第5章 男の裸
終章 21世紀はゲイ化の時代
著者等紹介
國友万裕[クニトモカズヒロ]
1964年生れ。大学非常勤講師(京都大学・同志社大学・龍谷大学・京都女子大学・京都外国語大学・摂南大学)・著述業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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katoyann
22
ハリウッド映画の変遷から多様な男性性を描出した研究エッセイ。単純なマチズモの時代は終わり、男同士でも弱みを見せたり、メイクをしたりといったジェンダーの変容が映画にも見られるという。沢山の映画を次々と列挙していくスタイルなので焦点を絞りにくく感じるところもあるが、馴染み深い映画が出てくると興味を惹かれる。個人的には『グッド・ウィル・ハンティング』なんて今思い出すだけで胸が熱くなるね。また、『ブロークバック・マウンテン』も男の友愛と性愛の境界を描いていてよき。書評ですか?面白かったです。了。2022/05/02
レイ
3
ハリウッドにおける男性の描かれ方について、入門として勉強になった。ただ、著者が思うイケメンの定義とか、好みの俳優についての記述が多くて、ちょっと主観は多かったかも。まあ、あくまで一般向けの書だから仕方ないかもだけど。2022/09/10
c
2
新書だからな。タイトルが幾らか扇情的に過ぎるとしても、それは読者の興味を強く惹くための商業上の手段に過ぎないし、本の内容に深度を求めるならば最初から専門の研究書を読めばいいだけのことだ。その旨はこの本の後書きにも書き記してあるはず。ただ、タイトルにあるBL界隈にしろジェンダー・フェミニズム界隈にしろ、兎に角面倒臭い…いや、少数派が少数であることを強権に変えてしまったマッチョな世界だ。女性的であるがゆえに、尚更その攻撃性に戸惑いがない。これらの世界を扱う場合、どれほど繊細になってもなり過ぎということはない。2014/11/03
のせなーだ
1
女子の介入を全く嫌うゲイを除いて、男を色々ジャンル分けするなんてね。人生、カラフルでいいと思う。ハリウッド映画より、ヨーロッパ舞台のほうが、純粋愛に近い気がするな。最近の「Call me by your name」の少年のひたすら愛する姿。ハリウッド映画で男同士の精神的つながりといえば、「midnight run」は、外せないでしょう。これほど、繰り返し楽しめる映画を。2018/02/07
トントンみん
1
タイトルにBLとあるが、日本で一般的なBL話はほぼ出てこず、副題のブロマンスや男性間の人間関係の描かれ方がメイン。作者の持論が強く出ているものの、広い年代の映画について語られている。あくまでも、ブロマンスの一考察として読むと面白い。2017/12/22