出版社内容情報
《内容》 運動不足が生活習慣病の発症の重要な因子のひとつであることは言うまでもないが,ここで注意を促したいのは,「運動不足はまず運動遂行能力(体力)を低下させる」ということである.「体力」は健康と同様に,多くの人々にとって関心の高い身近な問題である.本書は人々が納得できる「体力」の定義をし,実施しやすい「体力」の測定法を開発し,「体力」の水準を評価する方法を広めていくこと,現代に生きる人たちに役立つ「体力」とは何か,を改めて問いなおすことを期待して書かれている. 《目次》 序章 すべての人が体力を向上させる努力を1.よく運動する子どもに育てよう(1)米国でも子どもの体力づくり始まる(2)日本の子どもの体力低下傾向を指摘してきた(3)運動しない子どもが増加している(4)少ない子どもをたくましく育てよう2.中高年齢者にはからだを動かす努力をしてもらおう(1)公的介護保険制度が計画される(2)年を取ると筋力が低下する(3)使わないと筋力は低下する(4)高齢者でも筋力が回復する(5)力強さのトレーニングはタイプ2線維を太くする(6)力強さとねばり強さのトレーニング効果は別々に現われる(7)運動を続けていくには本人の努力と適当な環境が不可欠である(8)高齢者はからだを鍛える場を要求すべきである1章 体力を定義し,測定する1.福田邦三が説明する体力(1)辞典にみられる「体力」(2)福田が説明する体力(3)防衛体力と行動体力(4)体力の2つの側面2.猪飼道夫が説明する体力(1)体力の身体的要素と精神的要素(2)外国人の考える「体力」の紹介(3)エネルギーからみた体力の3次元展開図3.欧米の研究者が説明する体力(1)KarpovichとSinning(2)AstrandとRodahl(3)Bouchardたち(4)CorbinとPangrazi(5)Blairたち4.体カテストの変遷(1)体力章検定(2)国民体力法(3)スポーツテスト5.体力を簡潔に定義する(1)体力を定義する(2)体力の測定方法の生理学的基礎6.体力を技術との関連で考える(1)体力,技術,競技成績の関係(2)競技成績に寄与する体力と技術の割合(3)成長にともなう体力と技術の向上(4)「トレーニング」と「練習」とを区別する7.運動機器を利用する体力測定方法(1)アネロビックパワー1:全力で数秒間以内に発揮できるエネルギー(2)アネロビックパワー2:全力で30~40秒間に発揮できるエネルギー(3)エアロビック・パワー:余裕をもって数分間以上発揮し続けられるエネルギー8.運動機器を利用しない体力測定方法(1)健康状態の自己診断(2)高年齢者むけ「基礎生活体力」測定法(3)若年齢者むけ「基礎生活体力」測定法9.体力珍断システムの構成(1)測定項目の選択(2)測定結果の処理(3)測定頻度(4)測定手順および時間(5)インフォームド・コンセント2章 体力測定法の開発1.脚伸展パワーの測定装置の開発2.日常経験する負荷様式に近い脚伸展パワー測定器の開発3.最大無酸素パワーの自転車エルゴメータによる測定法4.全身持久力の評価尺度としてのPWC75%Hrmax5.PWC75%Hrmaxの全身持久性の評価尺度としての妥当性の検討6.換気性作業閾値が無酸素性作業閾値を与える(1)換気性作業閾値測定の再現性と誤差(2)換気性作業閾値が最大乳酸定常を与える7.全身持久力の測定評価のためのステップテストの開発(1)全身持久力の測定評価のためのステップテストの変遷(2)台の昇降運動の速さと酸素摂取量,心拍数(3)台の昇降運動による全身持久力の測定・評価の可能性について(4)運動後の心拍数反応による全身持久力評価の可能性について3章 体力測定方法の応用1.小学生のPWC75%HrmaxおよびPWC170の発達2.新しい体力測定システムの中等教育への応用例3.体力・運動能力の発達4.有酸素性および無酸素性作業能力からみた大学生の体力(1)新しいとらえ方による体力の測定(2)一般学生と運動部所属学生の体力5.加齢にともなう脚伸展パワー値の変化とその評価6.カナダのスポーツ選手の体力を測る(1)体力をパワーという単位で測る理由(2)実際にテストした手順【附】体力惨断システムの例(1)体力測定の方法(2)体力を評価するシステム(3)体力測定結果のフィードバック
目次
序章 すべての人が体力を向上させる努力を
第1章 体力を定義し、測定する
第2章 体力測定法の開発
第3章 体力測定方法の応用
附 体力診断システムの例