内容説明
なぜ日本に人権思想は根付かないのか?欧米と日本の人権理解の相違点はどこにあるのか?日本国憲法第九七条に謳われる「基本的人権」のルーツと受容の歴史を辿り、日本人が「人権思想」を理解できない問題点を浮き彫りにする。
目次
第1部 欧米型人権の形成過程と日本国憲法への影響(源泉としての聖書的人間観;抵抗権の形成過程;人権理念の形成過程;人権理念の法制化過程;キリスト教人権思想の日本国憲法への影響)
第2部 天皇型平等と人権―日本における抵抗権確立の壁(天皇型平等思想の淵源―構造原理と抵抗権の限界;天皇型人権思想の成立と展開;抵抗権の継承者の喪失)
日本における人権確立の課題と展望
著者等紹介
森島豊[モリシマユタカ]
1976年生まれ。東京神学大学大学院前期博士課程修了。聖学院大学大学院後期博士課程修了(Ph.D)。現在、青山学院大学准教授・大学宗教主任。「日本におけるキリスト教人権思想の影響と課題」により、中外日報社『涙骨賞』最優秀賞受賞(2015年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ずー
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人権の概念の基礎となる「抵抗権」は、君主の上位存在としての神の存在が前提となるが、しかし日本だと天皇=君主であり神なので、抵抗権というものが最初から成り立たない。日本型人権=天皇に忠誠を誓うのであれば、その限りで平等 つまり、天皇に従わないやつは人間ではないということになってしまう。という、日本で人権概念がどうも根本的に根付かない理由が丁寧に解説されていた。とはいえ、結局キリスト教を文化的背景としていない私たちが人権や公共の福祉といったものを希求することは困難なのだろうか?という納得できなさが残る。2022/11/27