内容説明
ルターは本当に「最初のプロテスタント」なのか?カルヴァンの「偉大さ」と「限界」はどこにあるのか?神学史と社会史の複合的な視点から中世後期と宗教改革の連続性を明らかにし、宗教改革研究に画期的な影響を及ぼした歴史家オーバーマンの本邦初訳書。
目次
第1章 嵐が発生する
第2章 ルターと新しい方法(via moderna)―宗教改革的転回の哲学的背景
第3章 マルティン・ルター―獅子の洞窟の中の修道士
第4章 宗教改革―終末、現代、未来
第5章 ルターからヒトラーへ
第6章 宗教改革時代の聖画像をめぐる論争
第7章 歴史的カルヴァンの回復を目指して
第8章 ヨーロッパ宗教改革の新たな見取り図
第9章 最前線―亡命者たちの宗教改革
第10章 カルヴァンの遺産―その偉大さと限界
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
63
ルターとカルヴァンについての本。カトリックの遺産を「教皇制による奇形化」から守ろうとしたカトリックの改革者だったルターと、ルターの改革派と非改革派という「二つの教会」の教理を練り上げた最初のプロテスタント・カルヴァンといった対照などが示され、二人の思想や宗教改革の進展への理解が深まります。また、信仰と理性を分離する中世後期の「新しい方法」がルターに影響を与えたことに絡め、その方法の多元性を「不確かな状態」とする心性がドイツでナチズムを受容する土台をつくったことが示唆されたり、様々に興味を惹かれる本でした。2022/12/20