内容説明
「ガンバの冒険シリーズ」『哲夫の春休み』の執筆経緯を辿りながら、子どもの本への思い、自身の魂の軌跡をつぶさに語った講演を採録。付録として、エッセイ“被災地でのミュージカル「ガンバの大冒険」観劇記”、著者が子どもたち、おとなたちにすすめる“絵本と物語のリスト”を収録。
著者等紹介
斎藤惇夫[サイトウアツオ]
1940年新潟市生まれ。小学1年より高校卒業まで長岡ですごす。立教大学法学部卒業。福音館書店の編集者を経て、2000年より作家活動に専念する。現在、長年の児童書編集の経験をもとに、講演や著作を通して子どの本のあゆみを伝えながら、子どもたちに本を読んでやることの大切さ、選書の大切さを訴えつづけている。また、河合隼雄氏を継いで、「小樽児童文学ファンタジー大賞」選考委員長を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Die-Go
46
図書館本。友人のお勧め。日本における童話の名作家斎藤惇夫さんが自らの歩みを語る。 斎藤さんの優しさと、真摯さがそこかしこから漂っており、読んでいて当てられてしまう。自分ももしかしたら、死ぬまでに五冊の物語をかけるかもしれないとも思わされる。拙いものであったとしても。「burst」させるものが誰にしもあるのではないだろうか★★★★☆2021/09/21
ワッピー
8
311インパクト後の「子供の物語を書く者としての再度の自己点検」講演録。この方の作品は4冊とも読みましたが、生涯に5冊しか書かないと決めていらっしゃったこと、「胸がはりさけそうな歓び」によって作品が生まれたということを初めて知り、子供のころから感じていた「激情ともいうべき熱さ」の源はここにあったのかと各作品の生まれた背景も含め、心から納得しました。次の、そして最後のとおっしゃられている作品はどのようなものになるか、今から胸が高まります。2014/04/20
みよちゃん
6
3.11のあったとき、自分や大人が子どもに負の未来を作ってしまったという負い目に、これから書く事ができるか、そんな苦悩が読み取れた。ホビットに出てくるなぞなぞーどんなものでも 食べつくす、……ちりとなす。……なんだ?ー答えは時間だが、地震と放射能の二つが子どもたちが答えた事に深い悲しみを覚えた。たのしい川べや瀬田さんの励ましとバトンを渡された事の思いを今後書く事で約束をはたしてもらい、その作品を是非読みたいと思います。2016/05/30
まあやん
3
I must write or burst 書かなくては胸がはりさけそう 何度も出てくる言葉 胸がはりさける なんという強い思い。この年齢の人ってなんだかすごい。ここに出てくるファンタジー全部読みたい。2017/10/29
Q-Q
3
震災以後、作家としてなにができるのかという葛藤が伝わってきた。作家が生み出す作品というのは、多少なりとも作者の経験、思考が反映されるものであるが、氏の作品にもそれが言える。氏が関わった安保闘争が冒険者たちの根底にあり、ニホンカワウソの絶滅がガンバとカワウソの冒険へとつながり、飼っていたリスがいなくなったことがグリックの冒険を書くきっかけとなった。ガンバシリーズの制作時の心境なども知ることができて良かった。氏の集大成となる五作目ですべての答えを得ることができるのだろうか?氏の出す答えが楽しみである。2016/05/13