内容説明
日本の近代化は「和魂洋才」をモットーに推し進められてきた。技術や文明の範を西欧に求めながら、なぜ日本ではその精神的支柱となるキリスト教が避けられてきたのか?宣教150年を迎える日本プロテスタント・キリスト教の歴史を批判的に考察し、キリスト教受容の問題点を探る。
目次
新しい時代の宣教ビジョン
日本とキリスト教
「幸いなる偶然の一致」?―ピューリタンとサムライ
禁酒禁煙のピューリタン
日本とアメリカ―キリスト教をめぐって
日本伝道と賀川豊彦
神の国と世界連邦
教会と若者
キリスト教大学での伝道
キリスト者と社会福祉
国家と教会
著者等紹介
古屋安雄[フルヤヤスオ]
1926年、上海に生まれる。1946年自由学園男子部卒業。1951年日本神学専門学校(現東京神学大学)卒業。1951‐59年まで、サンフランシスコ、プリンストン神学大学、チュービンゲン大学に留学。プリンストンより神学博士(Th.D.)。組織神学・宗教学専攻。1959‐97年まで、国際基督教大学教会牧師、同大学宗教部長、教授。その間、プリンストン神学大学、アテネオ・デ・マニラ大学の客員教授、東京神学大学、東京大学、自由学園最高学部の講師を歴任。1998年に東京女子大学宗教顧問。1999年より聖学院大学院アメリカ・ヨーロッパ文化学研究科教授、科長、アジア・キリスト教教育基金(ACEF)、賀川豊彦学会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きゃんたか
9
キリスト教の三類型はキリスト型(神の国を強調。シュバイツァー、賀川豊彦)、パウロ型(信仰義認を強調。ルター、内村鑑三)、教会型(教会形成を強調。カルヴァン、植村正久)。日本に福音が広まらない要因の一つはキリスト型の不足。信仰と実践の両立が望ましい。第二の要因はナショナリズムとキリスト教の対立。天皇制の潜在力は大きい。宗教改革から生まれたピューリタニズムの流れが、アメリカ建国の原動力となり、市民的自由の確立に繋がった。2015/10/19
もみひげ
1
・明治維新前後の伝来時に入信したのが、知識階級・特権階級の佐幕派の武士達 。・牧師だけが伝道を担い、その他の信者は平信者と呼ばれるように封建的で権威主義的。・“教会”という訳語のとおり知識優先、神学偏向なので、理解すれば卒業、出来なければ中退し、教会から去っていく。アメリカの禁欲的なキリスト教と武士のあり方が相まって過度に禁欲的。・他国に比べ教会が暗くて、楽しくない・君主制の“神国”日本では、最大の目的である“神の国”の実現が広まらない。 重複が多く、あまり説得力のない箇所もあったが、勉強になった。2012/02/26
小梅
0
講演まとめただけにしても、タイトルと合わないし、内容の反復多し。踏み込みが物足りない割に広範囲に取り扱いたいのか何なのかもよくわからん。入門書って感じでもないしなあ…2011/03/15
ぎゃっつ
0
近代日本におけるキリスト教伝道を批判的に考察した内容で、なかなか興味深い。了法寺みたいに萌えビジネスに参入すれば最強じゃn…ゲフンゲフン2011/02/08
kozawa
0
複数の講演の採録集のため、若干話の構成が飛んでいたり章の間で話の重複があったりと、ちょっともったいない本ではあるし、説得力に欠ける論もあるが、一定の知識に基づいて語っているのは評価していいと思われる2010/02/26