内容説明
キリスト生誕を元年とする西暦には、どのような根拠があるのか?それは、どのようにして生まれ、どのように発達したのか。西暦の年代計算の考え方を概観する。
目次
西暦の歴史(「キリストの支配のもとに」;キリスト教の暦の成立;キリスト以前、キリスト以後;別の年代計算法と暦)
資料(殉教者行伝;アキテーンのウィクトリウス;シメオン・バル・サバエ;ディオニュシウス・エクシグウス ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
7
初期キリスト教ではイエスの生没を基準として年月を数えるということはまだ考えなかった。西暦的に225年頃にキリスト紀元の年代表示の試みは出るが、明確には525年に教皇の依頼を受けたスキティア修道院長ディオニュシウスがイエス受肉を紀元にすべきと主張した。とはいえ教会暦では閏日や閏月を置いてもズレが生じていた。1528年のグレゴリウス改革で春分の日を3/21に固定したことにより、従来より太陽年に適合するようになる。この暦の受入れも時間がかかり、まずカトリック諸国が、1700年以後、プロテスタント諸国が受入れる。2020/11/25
海星梨
5
暦について勉強しているので片っ端から題に暦が入っているものを借りているところですが、これは学術的で興味深かったです。西暦だけが、キリスト生誕を起点として、その前と後ろへ時間を数えていく。どうしてその記述が誕生する土壌ができたのか、そしてゆっくりと浸透していき、他の暦がとって変わることができない地位を確立していった、というのが、なにも知らないで読んでもよくわかります。年代学、という言葉も仕入れました2019/02/12
guanben
1
「西暦」の元になる考えが生まれたのは、西暦525年。復活祭設定の都合で、諸々の辻褄を合わせて、こうなったと。キリストの生誕は紀元前4〜6年あたり。厳密に言うと辻褄はあってないところはどう折り合いをつけてるんだろう。思えば、西欧的価値観を受け入れてる日本は依然として和暦を使ってるけど、西欧嫌いの中国は何故か西暦を受け入れてる。このあたりの考えも知りたいところ。書きっぷりはなかなか難解で、内容自体は面白くなかったです。2024/12/01