内容説明
公園で、十八歳の少年はピストルに弾丸を込め、引き金を引いてみた。乾いた音とともに、弾丸は夜の海の方へ発射された。この瞬間に、少年の生の色合いが変わった。受動的に揺れ動くばかりだった彼の孤独は能動性を帯び、その身体に取りついていた「死」は、銃器のメカニカルな仕掛けを通じて、生きる力の極端な集約点のようなものに変換されたのである。
目次
1 事件(強盗殺人事件;生い立ち ほか)
2 逮捕(都会を徘回する少年;都市化と過疎と集団就職 ほか)
3 逃走(犯行に至るまで;骨まで愛して ほか)
4 射殺(東京・芝、ホテルガードマン射殺;京都・八坂神社 ほか)
5 呪縛(オレを三回捨てた;呪縛からの解放 ほか)
著者等紹介
朝倉喬司[アサクラキョウジ]
1943年岐阜県生まれ。早稲田大学文学部中退。『週刊現代』記者を経てノンフィクション作家となる
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